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NPO/NGOの広報は「1日にしてならず」 “多面”的に情報を伝えるためプレスリリースを積極的に発信

DATA:2014.01.31

国際的に活動を行っている「国境なき医師団」。一般企業とは異なる非営利団体という立場では、どのようにプレスリリース活用しているのでしょうか。

貴団におけるプレスリリース配信の目的はどのようなことだとお考えですか?

国境なき医師団は、国際的に活動している非営利の医療・人道援助団体で、命の危機にさらされている人びとに治療を提供する医療援助活動を展開しています。
そもそも国境なき医師団は、医師とジャーナリストが一緒になって1971年に創設した団体です。医療活動に加えて、命が脅かされる非人道的状況を国際社会や世論に訴えていくことでも、救える命を増やすことができる。従って創立以来、医療活動とともに、医療活動を通じて目撃した命の危機を伝える証言活動を大きな活動の柱としてきました。

情報発信をする中での課題はなんでしょうか。

国境なき医師団日本の広報活動には、前述の証言活動と医療活動への認知を拡大するという目的があります。
国境なき医師団日本の活動を支援してくださるのは、主に40~50代以降の層。その世代の目に触れやすい新聞などではこれまでも取り上げていただく機会がありましたが、今後の社会を支える20~30代の若い世代にも活動内容を伝えていかなければなりません。まさにこれが今の課題です。
そこで最近では、インターネットなど、若い世代との接点を築けるチャネルにも注力。自社サイトやSNSを使った広報展開にも力を割くようになってきました。

効率的な配信を心がけていると聞きました。

国境なき医師団日本の活動資金は100%、民間からの寄付によって賄われています。寄付金を無駄にしないよう、広報にかかわる費用も当然、毎年見直しを掛けています。
年を追って対象とする媒体数が増え、プレスリリースの配信業務は増大してきました。一方、マンパワーには限りがあるため、広報活動の効率化を図る必要がありました。そこでプレスリリース配信代行サービスを導入することにしたのです。
プレスリリースを配信する先としては、活動内容を幅広い方に知ってもらうためのマス向けの情報発信力がある媒体、それに加えて医療分野の専門媒体を重視しています。カバーしている媒体の幅広さと医療分野での深さ、どちらの条件においても団体の方向性とマッチしているPR TIMESを導入しています。

プレスリリースを活用するにあたって気をつけていることはありますか?

新聞やテレビの報道で知った情報をインターネットで調べ直す人が増えており、国境なき医師団日本が自社サイトやSNSに注力する背景には、その受け皿にする狙いもあります。
マスメディア、ポータルサイト、SNS、広告など、さまざまなチャネルが絡み合って“多面”的に情報が届くようになっています。そんな状況ですから、私どもの活動に関する情報も偏在することなく、さまざまなところで目に留まるようにすることが必要です。
NPO/NGOの活動は関心を持ってもらうまでが大変で、広報の仕事は『1日にしてならず』です。いろいろなチャネルで何度も活動内容とその背景を伝える情報に触れてもらうことで、ようやく活動の意義を徐々に理解してもらえます。“多面”的に情報を届けることが大切になっていますから、広い範囲に情報を発信していけるようにプレスリリースの活用方法には気を配らなくてはいけません。

広報に対する考え方は一般企業と違いますか?

活動内容に興味を持ってもらうためには、ただ理念や事実を流すだけの広報になってしまってはならない。マーケティングの視点を持って、媒体に記事として取り上げられやすいニュース性のある切り口や、読者に分かりやすく活動事例を発信するという考え方も重要。もっとも、マーケティング路線に走り過ぎては理念が二の次になりかねないので、「NPO/NGOの広報とは常にバランスが求められる仕事」で、そこに難しさがあると感じます。