PR TIMESのカルチャー
CULTURE 23
DATA:2022.08.19
当社では、共に働く社員が経験してきた過去の葛藤や失敗、それを乗り越え学んだことなど、その人ならではの経験をシェアする学びの場を「PR TIMES塾」として月に1度開催しています。
第4回目となる今回は、PR TIMES第一号社員として入社し、現在取締役 経営管理本部長を務める三島さんが塾長を担当。経歴や肩書きを見ればすごい人だ...と感じる人も多いかもしれませんが、当日はこれまでの「しくじり案件」など裏側のキャリアストーリーが語られました。このレポートでは、塾の内容を一部ご紹介します。
三島 映拓(みしま あきひろ)
取締役 経営管理本部長
PR TIMES第一号社員として入社し、現在取締役 経営管理本部長を務める。
三島映拓(以下、三島):最初に自己紹介していきます。僕は離島出身で、東京大学に通うため上京してきました。卒業後は、俳優を目指しながらアルバイト生活。その後、ご縁あってPR TIMESに入社し、今は取締役として働いています。一言で表すと、役割を変化させるなんでも屋さんです。
ここまで話して、離島から東大へ進学して就職せず俳優を目指し、アルバイトで入社して、現在の取締役、と…僕のプロフィールを見ていくとすごくカッコ良く見えるかもしれないのですが、本当はすごく鈍臭いタイプの人間です。まさかここで?みたいなところで転んじゃうようなタイプ。本当に。なので、今日は裏側のライフストーリーも紹介したいなと思います。
まず中学時代。地元の島の学校では、「けっこう勉強できる!」と自負していたのですが、離島から県内の進学校にいくと400人中250位とかで。下から数えたほうがはやかったです。そこから努力して、じわじわ成績を上げて、浪人も経てぎりぎり東大に引っかかった・・・という感じなので、全然天才型じゃないんです。
卒業後、2年間の俳優志望の時代も旅行誌の箱根特集で「箱根行ったよー(笑顔)」みたいな写真で出たくらいで…オスカープロモーションという大手の事務所に入れたのですが、俳優デビューもせずに終わりました。その後に縁あってベクトルに入社したのですが、PR TIMES加入には、特に何かポリシーがあったわけではなくて。たまたまPR TIMESのサイトをローンチした日に運営メンバーが足りなくなって「三島くんちょっと手があいていたら来られない?」みたいな感じで声をかけてもらって。そこからここまで生き残ったゾンビみたいな感じで、役員やってるのが僕です(笑)
あと僕は本当に大器晩成型で、何を成し遂げるにもとにかく時間がかかるんです。何でも屋みたいな感じもあって「オールマイティになんでもできます」というふうに伝わるのですが、実はなにも専門的にはできない。だからこそ、ということもありますが「何か始める時に意思はいらない」というのは僕の経験則です。自分と同じくらいのレイヤーにいて、早めに結果を出す人がいると焦ってしまったり、意識して自然と他者比較してしまう…みたいなことってあると思う。でもそれはタイプの違いだから、悩む必要は全然ないと思います。短いスパンで狭い範囲での競争みたいなものには意味がないし、少し引いて見て、客観的に自身の現状に向き合えるようになるといいですよね。
三島:まず社会人になった頃を振り返ると、東大卒業後、俳優を目指しながら2年程アルバイトをしていたんですね。それからベクトルに入社しました。当時は型にはまったプレスリリースばかり書いていたり、クリッピングとか作業にも面白みを感じられなくて…実は1年で辞めることを決意して上司に伝えましたが、稼がないと食べていけないだろうからという会社の好意で社員からアルバイトに切り替えてもらえました。
地方では、地元の高校だと上位という環境があって、みんなが頼ってくれた。「三島くんだったら何かやってくれるんじゃないかな」みたいな、オリジナリティーを発揮できていた理想の自分のような、虚像を引きずっていたのかもしれません。またまだ自分を大器晩成型だとは思っていなかったので、勘違いしていました。同期は営業でも成果を出してるのに、僕はなんでこうなんだろう?と不満に思い、面白くないなと考えてしまっていたんだと思います。
初めての営業同行で上司が来れなくなってしまい、僕一人で対応も上手くできず営業先に怒られてしまうなんていう事もあり、自分が早々に自立する必要があったんですよね。ただ、そのことには感謝していますし、どういうタイプの上司が自分を成長させてくれるかは、その時にはわからないものなのかもしれないので、今の上司とのバランスだけで判断するのはもったいないのではないかなと思います。
クライアントから仕事の仕方を教えてもらうことも多かった。その中に「朝の整理」というのがあります。朝出勤したらすぐに作業に入るのではなく、まず今日やることをリストアップしてプライオリティーをつける。それと、自分でやるようになった「10秒確認」は、ミスをフォローするための時間を浪費するくらいなら、実行前に10秒立ち止まって確認をしよう、という考え方。当たり前のことですが、メールで何かを間違えて送ってしまって謝罪やリカバリーに時間を取られるということはありがちなので。こうした習慣は当時から続けています。
三島:これはあまり深刻に聞かないでほしいんですが…過去、事業やプロジェクトを3つ潰してきています。「ブログタイムズ」というブロガーネットワーク、「タメトク」というポイントチャンネル事業譲受から刷新したポイントサイト、「ラッピー×ブラッピー」というテレビ番組、この3つを潰してしまった経験があります。
もちろん全ての案件、その時自分が持っているものを出し切って一生懸命やりましたが、結局はダメでした。前提、事業が成功するのがベストですが、上手くいかなかったとしても本気で挑んだという経験と仲間は資産になると思っています。その例に、当時「ラッピー×ブラッピー」を本気で一緒に作っていた番組プロデューサーの西田二郎さんは、僕が困っていると言えば、助けてくれる存在だと思っています。逆に、中途半端にやったものはうまくいっても何も残らないですし、一緒に働いていた人も助けてはくれないと思います。
少し前、新卒採用の面接で「入社が決まったら何を準備したらいいですか?」と聞かれたのですが、同席していた人事本部長の名越さんが「今やっている事を目標値を上げて本気でやり切ってください」と答えていて。結局何をするかは大事ではなくて、その人の限界を突破するような経験を何回しているかが重要で、その経験が後々生きてくるんですよね。
今の環境が本当に自分の能力を発揮できることなのかな?という迷いがあるのは、“何をやるか”を考えている段階。そこで立ち止まらず、“どうやるか”だけを本気で考えれば、道はどんな時でも開けていくと思っています。ごまかさないで、自分の本気を知ることも大事です。口では簡単に言えますが、自分が本気になっている状態って本人には分かりますよね。あとは、なぜやるか、を本心で語れるようになったら本物だと思います。
三島:2015年に執行役員に任命され、実は2016年に一度PRプランニング部門の管掌役員から外されて、何のCXOなのか自分でもわからないと迷走した時期がありました。当時はまだPRプランニング力こそが自分の強みだと思い込んでいました。でも、そこで拗ねたり腐ったりせず自分の得意分野という概念を外し、合理性より社内外の信頼を築くことを最重視しました。コミットした事は得意かどうか考えずに会社の価値を上げるということだけに集中し、未来の成長に向けた挑戦に本気で取り組みました。
パートナーメディアを増やしたり業務提携を初めて結んだり、広報としてもいろんなメディアに出たり、プレスリリースを書いたり、新事業に向けての挑戦やコーポレートの取組み等をがむしゃらにやりましたね。1年後には年度MVPを獲って、取締役に就任することになりました。
自分の価値を決めるのは過去の自分ではないということが、これまでの経験や失敗から得た学びです。得意不得意で考えるとこれまでやってきたことでしか判断ができず、過去の自分が未来の自分を決めてしまうということにもなるので、今の自分で判断をしなくていい。また、本気で挑み続けると何かしらで芽が出るということ。そして、信頼関係を作るとそこから良い関係だったりお客さんが増えるという事を実感しました。
失敗を恐れず社員の皆さんにもチャレンジしてもらいたいなと思います。自分が持てる力を出し切り、それが空振りでも大振りしていこうみたいな感じ。迷って喉元に留めるのでなく率直に意見して衝突を恐れないことも大事かなと思います。
三島:記憶が補正されて上書きされているかもしれないという前提で、僕の支えになった言葉を幾つか紹介させてもらいます。
まず番組プロデューサーである西田二郎さんから言われた「同じ岸から、海を見ようよ」という言葉。会社と制作側の意見が合わない時があって。その時に、向き合ってぶつかるんじゃなく、目指す先は同じなんだから、同じ岸から沖の方を見て、みんなであそこ目指したいよねという意味合いのことを、すごく遠回しに優しく伝えてくれたことを覚えています。
次が代表の山口さんから「任せるから決めてください」と言ってもらっていること。信頼されているなと感じられることと、自分が決めた言葉がPR TIMESを代表したメッセージになるんだと思ってやっていたので良い意味でプレッシャーになっていました。
最後がクリエイティブディレクターの武藤雄一さんに言われた「冷徹で細かいのがすごく良い」という言葉。僕はすごく細かい部分を気にしちゃうんですけど、一般的にはマイクロマネジメントは良くないと言われることもありますよね。でもそれやめたら三島さんじゃなくなっちゃうよ?と言ってもらって。一般論だけで考えると良くないのかなと感じた言葉でした。
三島塾に参加してみて、私たちは、知らず知らずのうちに役職や肩書きでその人を理解したつもりになってしまうのかもしれないと改めて感じました。
「自分の価値を決めるのは、過去や未来ではなく今の自分」という三島さんの気付きは、自分自身と向き合ってきたからこそ言える言葉だなと思います。
執筆=倉本亜里沙、構成=田代くるみ(Qurumu)