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有力な地方紙の開拓目指し、各拠点と連携。成功事例を社内共有したことで連携が進み、掲載拡大の後押しに

DATA:2014.12.18

  • 全国・海外の拠点で1万6500人が働く。帰属意識向上のため、社内広報が重要に
  • 地方紙との関係も深めて掲載拡大狙う。成功事例の共有で、自社の各拠点が協力的に
  • PR TIMESはさまざまな面で業界No.1と評価。使ってみたらサポート面にも満足

アルミサッシよりも断熱性に優れ、省エネに貢献する“樹脂窓”。樹脂窓の普及を図るYKK AP株式会社は、その魅力を知ってもらおうと毎年「APWフォーラム」というイベントを全国十数カ所で開くなど、啓蒙活動に力を入れています。 日本全国で樹脂窓の普及を図る上で、カギとなるのが各地域で影響力を持つ地元の有力紙と良好な関係を築くこと。そのためには本社広報の力だけでは不十分で、各地域の拠点と連携して継続的に地方紙と連絡を取って、関係を深めていくことが重要になってきます。 YKK APの広報室では、各地域の拠点から協力を得るため、成功事例をつくって社内報に載せるなどして情報共有。少しずつ各拠点で理解が広まり、今では各拠点から進んで「このイベントで協力してもらえないか」と依頼してくれるようになってきました。 同社がどのように成功事例をつくったのか、広報として心掛けている点などと合わせて、広報室の長沼史宏係長に話を聞きました。

海外含め1万6500人が働くYKK AP。帰属意識を高めるため、社内広報に注力


貴社では、どのような体制で広報に取り組んでいるのでしょうか。

当社には全国各地に支社や工場があり、海外にも拠点があります。国内だけで千人規模の工場が数カ所あり、従業員数は1万6500人にもなります。これだけの規模になると、会社に対する帰属意識を高く持ってもらうことが重要な経営課題になっているのです。
 従って広報室も、社内広報に力を入れています。広報室は6人体制ですが、全国各地の拠点を飛び回って取材・情報発信する社内向けの担当者が2人、自社製品の魅力を訴求する社外向けの担当者が私を含めて2人、社内・社外の活動をバックアップする社員が1人、全体を統括する責任者が1人という体制で業務を進めています。

BtoB中心か、BtoBtoCが狙えるか。製品ごとに発信内容の重点を考える

社外広報の担当者として、普段の業務の中で心掛けている点は?

われわれが扱っている製品は、窓・玄関ドア・建材といったものになります。
 こうした分野の製品を扱っていますと、広報としてメッセージを届ける相手を見定めにくいのが難点です。「YKK APの製品を採用しよう」と決めてくださるのは、ビルを建てるときは建設会社や設計事務所になる一方、注文住宅を建てるときやリフォームの際は一般の方々が意思決定に大きく影響を与えることになりますから。ですので、広報時には製品ごとに焦点を当てるところを変えるようにしています。
 ビル用建材などのBtoB中心の製品は、専門的な内容であっても技術的に優れているところなどをしっかり伝えるようにしています。
 この場合、製品導入を決定する企業担当者や、そうした方々が読む専門誌の記者がターゲットになります。人数が比較的絞られて顔が見える相手に情報を届けるわけですから、彼らが求める情報をできるだけ正確に推測することが大切です。社内では「ずっと前からやっていることだから重要ではない」と思っている情報でも、業界ではようやく注目を集めるようになった情報もあります。「この情報は、今こそ再発信するべきだ」と私の方から提案して、その主張が通った結果、「YKK APは以前からやっていた」と記事にしてもらえたこともありましたね。
 逆にBtoBtoCで注文が狙える窓などの製品では、一般の方々から「あのCMで流れていた商品にしたい」と指定いただけることもあります。従って情報発信の際には、誰にでも分かりやすい内容であることと、「毎月の光熱費が何円安くなる」といった生活と密接に関わる情報を伝えることを心掛けています。
 例えば、当社が力を入れている製品の1つに“樹脂窓”があります。実は世界の先進国の間では、アルミサッシよりも樹脂フレームで作られた“樹脂窓”の方が一般的。アメリカで67%、ドイツで60%が樹脂窓を使っていますが、日本での普及率はわずか7%となっています。
 しかも、夏は暑い空気の73%が窓から入ってきて、逆に冬は温かい空気の58%が窓から逃げていくのです。アルミサッシよりも樹脂窓の方が断熱性は高いので、樹脂窓に切り替えれば光熱費の節約につながります。当社調べですが、実際に東京のある地域では、年間で約2万1500円も節約できるというデータも集まりました。
 このように一般向けに情報発信する際には、技術的な細かな違いに焦点を当てるよりも、光熱費が安くなるといった明らかなメリットを前面に打ち出すようにしています。

イベントは好機。開催情報→イベント報告→特集と3段構えで記事化を働き掛け

広報担当者として、重視しているKPIや成果などはあるのでしょうか?

当社には全国に拠点があるわけですから、どの地域もバランスよくメディアで取り上げてもらえるように気を配っています。全国に向けて情報発信している通信社との関係を深めることと同じくらい、当社としては有力な地方紙とのつながりを大切にしています。
 地方紙とのつながりを育む上で、重要なきっかけになっているのはイベントです。2012年から樹脂窓を普及・啓蒙するために「APWフォーラム」というイベントを全国十数カ所で開くなど、さまざまなイベントを企画していまして、地方紙との接点を築く上で、そうしたイベントが非常に有効になっています。
 というのも、そうしたイベントの開催情報を広報すると、さまざまなメディアに「開催予定」であると記事に取り上げてもらえます。すると、今度はその記事を読んだ専門誌・地方紙の記者がイベントに足を運んで詳しいレポート記事を書いてくださるのです。そうした記事から「樹脂窓を使いたい」という一般の方々のニーズが掘り起こされ、さらに反響が生まれるようになるわけです。ある地域で、地元の有力紙に週末に行うイベントに関する記事が掲載された結果、週末土日の2日間だけで通常時の1カ月分に相当するショールームへの集客につながったケースもありました。
 こうした取り組みを続けて樹脂窓についての理解が広まってくると、メディア側にも“企業の宣伝文句”ではなく“世の中の動向”として「樹脂窓が浸透しつつある」「これは新しい動きだ」と注目いただけるようになります。
 どの都道府県の地方紙とも、そこまでの関係を築いていきたいと考えています。私自身、足繁く地域ごとのイベントに参加して、地方紙の記者とあいさつするようにしています。

そうした地方紙との関係を深めていくためには、各地域の自社拠点との連携が必要になるように感じます。広報関連の取り組みに快く協力してもらえるように、工夫していることなどはあるのでしょうか?

そうした面では、社内広報が役立っています。過去に成功した事例について、地方でのイベント開催から特集記事として掲載されるまでの取り組みを社内会議で紹介したり、掲載メディアの許諾を取ってから記事内容を印刷して社内報に載せたりなどしています。
 「これだけの成果が出ていますから、広報室を巻き込んで一緒に仕掛けましょう」と社内に向けて伝えていくことで、どの地域・拠点からも協力を得やすくなってきました。最近は「このイベント、協力してくれないか」と支社などから相談を受けることが増えまして、私のスケジュールが先の方まで出張で埋まっているくらいですね。

利用社数・情報転載先などから「業界No.1のサービス」と判断し、PR TIMESを選択

そのように各地域を網羅することを重視していた中で、PR TIMESを使ってプレスリリース配信するようになったのには、どんな理由があったのでしょうか。

新聞などの既存マスコミの影響力が落ち込む一方で、スマートフォンなど、さまざまな端末からアクセスできるWebの影響力が強くなっていると感じました。ですから「Webで検索したときに、当社製品の情報を載せているページが引っ掛かる確率を少しでも高めたい」と思い、Webでの情報発信を強化しようと考えました。
 いくつか選択肢があった中でPR TIMESを選んだのは、私なりに情報収集した結果、利用社数にしても、プレスリリースが転載されるメディアの質・量にしても、業界No.1のサービスだと判断したからです。
 実際に利用してみたら、プレスリリースを作成するところで手助けしてくれたり、配信先のメディアと調整してくれたりとサポート面も万全でした。「PR TIMESを選んで間違いなかった」と満足しています。

メディアを開拓する手間・労力の軽減にもつながったPR TIMES

他にも、利用してみて感じたPR TIMESの利点はないでしょうか。

PR TIMESを使ってプレスリリース配信することで、非常に多くのメディアに情報を届けることができるようになりました。
 例えば、当社が提供しているサンルーム「サンフィールⅢ」という製品は、PM 2.5や花粉症の対策になることで、需要が増えています。そんな背景情報をプレスリリースに書いて配信したところ、「あのサイトを見て連絡しました。PM 2.5対策になるなら、記事で紹介したいです」とまったく接点のなかったメディアの記者からも連絡いただけるようになってきたんです。
 別の例としては、バリアフリーの高齢者向け住宅での利用を意識している製品の情報を配信したとき、初めて媒体名を聞くような介護関係の専門媒体から問い合わせをいただいたこともあります。

先に重視していると伺った地方紙との関係づくりにも効果はあったのでしょうか?

そちらも効果が出ていますね。これまで地方紙にアプローチしてイベントに参加してもらうには、こちらから電話して説得するしか手がなかったんです。それがPR TIMESを使って情報を発信しておくことで、不動産やインテリアなどに興味を持っている記者が自分から進んで参加してくれるようになりました。それだけでなく、一般の方々からも「樹脂窓に関心があるので参加してもいいですか?」と相談いただくことも増えてきました。
 このように、PR TIMESを使うようになってから、メディアを開拓する手間・労力が非常に軽減されていると感じますね。

樹脂窓の普及など、社会貢献につながる自社製品の魅力を伝えていきたい

今後の広報活動について、最後に抱負を聞かせてください。

まず私自身の目標としては、日本での樹脂窓の普及率を7%から30%以上に引き上げていきたい。そんなトレンドを起こしていきたいと思っています。日本ではエアコンなどの省エネは進んでいますが、窓による省エネ効果はほとんど注目されていません。樹脂窓の魅力をもっと多くの人に知っていただくことで、樹脂窓の普及に貢献したいです。
 樹脂窓以外にも、当社にはPM 2.5の対策になる製品や、建設現場の人手不足問題を多少なりとも解決できる製品など、社会貢献できる製品を数多く扱っています。そうした製品の魅力も、少しでも多くの人に広めていきたいですね。

そうした目標を実現するためには、まず私たちの努力・工夫が必要だと考えています。けれど、PR TIMESのようなツールを活用することで、自然とメディア関係者から問い合わせが入るようになり、記事掲載につながることも増えてくるでしょう。
 PR TIMESを利用することで、そうしたメリットが十分に期待できると実感できていますから、今後もPR TIMESの利用を続けていくつもりです。