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テレビ等で活躍の「つっぱり棒博士」を生んだ広報術。丁寧に情報を届けて充実した記事作りを支え、次の取材のきっかけに

  • 内藤 紗希(平安伸銅工業株式会社 広報)

DATA:2018.12.12

  • 広報活動をゼロからスタート。年に十数回だったメディア露出が180回以上へ急増
  • 読者が求める情報を一緒に考える。充実した記事を見て、次の取材が入るように
  • 売上に直結するホームセンターの販売スペース、メディア露出で展示・販売が拡大

住まいのさまざまな場所で使われる「つっぱり棒」。昔から愛用されている収納用品ですが、ここ最近になって「つっぱり棒を2本渡してかごを掛け、棚を作る」「冷蔵庫のドアポケットに取り付けて、調味料をS字フックで吊るす」など、これまであまり知られていなかった活用術がメディアで取り上げられるようになり、注目を集めることが増えてきました。

こうしたつっぱり棒の活用法を広めた立役者が、テレビ番組や雑誌などで「つっぱり棒博士」として紹介される竹内香予子氏です。実は竹内氏の本業は、つっぱり棒やつっぱり棚などの収納用品を企画・開発する平安伸銅工業の3代目代表取締役。竹内氏がメディアに登場する機会が増えたことも一因となり、同社の業績は順調に拡大しています。

竹内氏は2015年に代表取締役に就任してから、「LABRICO(ラブリコ)」「DRAW A LINE(ドロー ア ライン)」といったつっぱり棒関連の新ブランドを生み出し、社員には生活者目線を持つように意識付けるなど、社内を変革してきました。それまで専任として不在だった広報担当者が置かれるようになったのも、竹内氏が代表になってからのことです。広報の仕事を任されたのは、商品を企画・開発する部署で働いていた内藤紗希氏でした。

最初は開発部との兼任で、未経験の広報業務を突然任されて戸惑いながらも、内藤氏は持ち前の行動力ですぐにアプローチしたいメディアをリストアップ。「新商品を紹介してくれないか」と各編集部へ電話を掛けて回ったそうです。

ゼロから始まった広報活動でしたが、内藤氏が広報担当者になってからわずか1年半ほどで、以前は年に十数回ほどだったメディア露出が年180回以上にまで急増しました。どうやってここまでメディア露出を増やすことができたのか、内藤氏に詳しく話を伺ってきました。

注目度の高い3代目女性社長。以前から取材はあったが、次につながらず

平安伸銅工業株式会社 内藤紗希さん

内藤様が就任するまで、平安伸銅工業には広報担当者がいなかったそうですね。以前はどんな状況だったのでしょうか?

広報担当者は不在でしたが、代表の竹内が30代半ばという若さで3代目の代表取締役に就きました。女性社長でもありますし、以前から大阪産業創造館に応援いただいていました。「事業継承」「女性社長」といったテーマで取材先を探しているメディアに、大阪産業創造館から当社を紹介いただくことがありました。

 ただ、そのころは「3代目」「女性」「若手」の社長といった切り口で、新聞やビジネス誌などに取り上げられることがほとんどでした。当社の商品のことまで詳しく紹介されることはあまりなかったです。

 また、メディアに登場することはあっても単発で終わってしまっていました。そこから別のメディアが興味を持ってくれて、次の取材へとつながることはありませんでした。

担当になったからには、とにかく行動。デザイン性重視の雑誌などにアプローチ

そんな状況で内藤様は広報担当になりました。広報経験ゼロからのスタートだったそうですが、最初にどんなことから始めたのでしょうか。

とにかく「担当になったからには、何かしないと」と思いました。当時はちょうど「DRAW A LINE」の発売を間近に控えていましたので、まずは本屋に行って「DRAW A LINEに興味を持ってくれるのは、こんな雑誌を読んでいる人かな」と想像し、読者層がマッチしそうな雑誌の名前をメモして会社に戻りました。それからメモした雑誌の編集部に電話を掛けてたり、問い合わせフォームから連絡をして、「新商品紹介のコーナーに、DRAW A LINEを載せてください」とお願いして回りました。

 その結果、「Begin」「MONOQLO」「Casa BRUTUS」「ELLE DECOR」など、デザイン性の高いアイテムを取り上げる雑誌に紹介してもらうことができました。さらに、テレビ東京の「WBS」(ワールドビジネスサテライト)のコーナー「トレンドたまご」にも取り上げられ、自ら出演して商品の魅力について説明させていただきました。

 次に、プレスリリースの配信代行サービスを使って、DRAW A LINE発売のプレスリリースを配信してみました。いくつかのWebメディアに記事が載り、それを見たテレビ局や雑誌社の方に「新しいコンセプトのつっぱり棒を、若い女性社長の会社が企画・開発したんですね」と興味を持っていただけて、「取材したい」とお問い合わせが入るようになっていきました。

おしゃべりがきっかけで誕生した「つっぱり棒博士」


今ではテレビなどのメディアにかなりの頻度で露出できるようになってきていますよね。これまでの活動を振り返ってみていただいて、「広報活動が上手く回り始めるきっかけになった」と感じた出来事があったら教えてください。

生活情報誌「ESSE」で、収納アドバイザーが使っているグッズを取り上げる記事が掲載されることになりまして、その記事の中で当社のつっぱり棒を紹介してもらったことがあります。

 そのとき、記事掲載に向けてESSEの編集者さんとやり取りする中で、ちょうどつっぱり棒特集の企画を検討されていることを知りました。当初はつっぱり棒の基本的な使い方や実例紹介の内容だったのです。私はおしゃべりの中から、相手の考えや想いを伺いながら汲み取ろうとするところがあるので、編集者や読者の方がどのようなことを求めているのか、また当社として最大限どのようなことで協力できるのかを考えました。

 そこで、「うちの社長は子どものころからつっぱり棒に囲まれて育ったので、つっぱり棒が大好き。家の中のあちらこちらですごく便利な使い方をしている」ということを思い出しました。

 それで社長の自宅に行って、つっぱり棒の活用場面を撮影してきまして、その写真を添えて「社長の家は“つっぱり棒御殿”でして、こんな使い方やあんな使い方をしています。自分の生活スタイルや動線が変われば、つっぱり棒を違う場所に付け替えて、住みやすい環境を常に整えたりしています。自宅も紹介可能ですし、メーカー問わず、たくさんのつっぱり棒を日々研究されているんです」と打診してみました。すると、編集者さんに気に入ってもらえて、トントン拍子で話が進みました。

 最終的に、その特集は10ページほどのしっかりした内容になり、社長が「つっぱり棒博士」として誌面に登場することになったんです。

「つっぱり棒博士」が誕生したのは、そのときだったんですね。

そうです。それから雑誌のESSEに記事が掲載された後、Webサイトの「ESSE-online」にも同じ内容で記事が載ることになりました。

 そうしたら今度は、ESSE-onlineを見たテレビ局の関係者から取材の依頼がありました。日本テレビ系列の朝の情報番組「スッキリ」に社長が「つっぱり棒博士」として登場することになり、芸能人のご自宅へお伺いして、つっぱり棒を使って収納を効率化していく様子を紹介いただけることになりました。

どんなメディアにも、ユーザーが知りたい情報を考え、丁寧に伝える


内藤様がESSEに企画協力したことから広がっていったわけですね。そうしたアプローチの仕方は、他のメディアにもよくするのでしょうか?

 そうですね。有名なテレビ番組でも、地域のローカル番組や雑誌、Webメディアでも、対応は変わりません。基本的に、まずはそのメディアのターゲットとするユーザー層を伺ったり、こんな人がこんな内容を求めてそうかなと自分で予測したりして、ターゲット層に響きそうなメッセージを考えて、「それなら、こんな情報はどうですか?」と私の知っている情報をそのメディアに合わせてできるだけ丁寧に伝えるように心掛けています。

 テレビ局やその制作会社など、マスコミ関係者はWebメディアなどで情報収集して、そこから企画を考えることが多いそうなんです。知名度のそれほど高くないWebメディアであっても、充実した情報を掲載してもらえれば、他のメディア関係者が何かの機会に読んでくれて、当社の商品に興味を持ってくれるかもしれません。

 実際、これまでに取材のお申し込みをいただいたメディアの方に当社を知ったきっかけを伺うと、「○○というWebサイトに掲載された記事を見て」といった答えが多いです。

 これまで単発で終わっていたメディア露出が次の取材へとつながることが増えてきまして、広報活動が上手く流れるようになってきたなと感じています。

「取り上げる保証なし」「不利益な情報も扱う」取材であっても快諾

「知っている情報をできるだけ丁寧に伝える」ことで、上手くいったと感じた具体例はありますか?

NHKの情報番組「あさイチ」の担当者から「番組で取り上げるとお約束できませんが、つっぱり棒に興味があります。私はつっぱり棒のことが分からないので、まずは詳しく教えていただけないでしょうか」とお問い合わせをいただいたことがありました。

 わざわざ東京から大阪の当社オフィスまでお越しいただくことになりまして、つっぱり棒の構造や活用事例、利用者がよくやる間違いに加えて、つっぱり棒のメリットやデメリットまで、3~4時間ほどかけて説明しました。

 そうしたらすごく興味を持ってくださって、番組で取り上げていただけることになりました。ただ、「視聴者にとって役に立つ情報を伝えたいから、メリットだけでなくデメリットも紹介する可能性があります」と話をいただきましたが、こちらとしては正しい情報をお伝えすることがユーザーの方にとってプラスになると考えて取材を快諾しました。番組が独自調査して消費者がつっぱり棒について不安に感じている点や疑問点について抜粋した内容をいただきまして、その内容に対してそれぞれコメントを返して――と何度も連絡を取り合うことになりました。

 とても手間のかかる濃密なやり取りになったのですが、その分、放送前に番組をチェックした関係者から「すごく分かりやすい内容になった」と好評だったそうです。そして放送日を迎えたところ、トップ成績の視聴率を記録することができました。

 それだけ視聴者の方に興味を持ってもらえる内容で放送することができ、担当者の方はもちろん、番組に関わるスタッフの皆さんや出演者の方々に協力できた喜びでいっぱいでした。

メディア露出の影響か、LABRICOの活用例を展示する店舗が増加


広報活動が上手く回るようになりそれだけメディア露出が増えたのなら、会社にもいい影響が出てきそうですね。

売上はここ数年伸び続けている状況ですが、広報がどれだけ貢献できているかは数字で把握するのが難しいです。ただ、LABRICOを展示・販売するコーナーを新しく設けてくれるホームセンターが確実に増えてきました。

 収納用品を手掛けるメーカーにとっては「ホームセンターの販売スペースを広げる」ことはとても大事なことなんです。いくら新商品を企画・開発しても、販売スペースが広がらないと既存商品と入れ替えるしかないので、売上は大きく増えません。

 しかも、ただ販売スペースを増やしてくれただけではなくて、「LABRICOをこう使って収納しましょう」と来店客へ実際に展示してみせて提案してくれる店舗が増えてきたんです。

 中には、LABRICOの展示・販売コーナーを3カ所も設けてくれた店舗もあります。別の店舗では、これまで陳列棚の上半分のスペースだったのを、棚の下から上までLABRICOを使った収納の実例を展示してくれるようになりました。広報活動の力だけではありませんが、LABRICOなどの活用方法がメディアで紹介されたことも後押しになったのだとは思います。

京都銀行と提携していたPR TIMES、無料配信を試して感じた使いやすさ

以前は別のプレスリリース配信代行サービスを利用されていたそうですが、2017年9月からプレスリリース配信にPR TIMESを利用するようになりました。

広報担当者が集まる勉強会に参加したことがありまして、そこで広報活動に詳しい方に「知り合いの記者のメールボックスを見ると、PR TIMESからのメールがほとんどですよ」と教わったことがありました。

 それでPR TIMESに興味を持つようになったころに、当社の管理部長から「京都銀行さんがPR TIMESさんと提携して、無料でプレスリリースを配信できるようになったらしいよ」と紹介を受けました。京都銀行さんに相談したところ、半年間に無料で3回プレスリリースを配信できると伺って、PR TIMESを試してみることにしました。

 PR TIMESを使うようになって一番助かったのは、プレスリリースを即時配信できるところです。以前は配信予定日時よりもかなり前にプレスリリースを用意しておかないといけなかったので、配信内容に急な変更があっても修正を反映することに時間がかかりました

 実際に使ってみた感想としては、Wordで作成したプレスリリースを読み込ませるとデータ入力が完了する「Wordファイルをインポート」する機能があって、とてもうれしかったです。

それまでは文章をコピー&ペーストして、画像や文字間隔を調整して――といったプレスリリース配信のための作業にとても時間を取られて大変でした。毎日かなりの件数がある取材関連の電話に応対するだけで手一杯でしたので、プレスリリース配信の作業が楽になって非常に助かりました。

 あとはプレスリリースが記事として取り上げられた価値を、広告費に換算してくれる「広告換算ツール」も役立っています。広報担当者として、「このプレスリリースで売上がこれだけ増えた」とは言えないのが悩みの種だったので、「広告費に換算してこれだけの価値があった」と言えるようになっただけでも大きかったです。

広報に加えてプロジェクトリーダーにも。マネージャーだけでなく、つっぱり棒博士やその知識をWEBやSNSなどでも盛り上げたい


最後に、内藤様の今後の目標を伺えないでしょうか。

これまで数々のメディアにつっぱり棒博士を出演させていただきましたが、今後“つっぱり棒”をさらに広めるべく、『つっぱり棒プロジェクト』が立ち上がり、プロジェクトマネージャーに就任しました。

 今後、様々な方面から各所を盛り上げていきたいです。これまでは広報として、会社や商品などのアピールや宣伝を中心に活動してきました。今後はこれに加えて、正しいつっぱり棒の使い方や活用術を広めるために、“つっぱり棒博士”の露出を一層強化していきます。

その具体的な取り組みのひとつとして、『家中スッキリ片づく! 「つっぱり棒」の便利ワザ』(青春出版)を2018年12月20日に発売することになりました。出版社の方と何度もやりとりしながら作り上げた、つっぱり棒博士初の突っ張り棒本です。ぜひ手に取ってご覧いただけたら嬉しいです。

他にも、Webページでの発信や売り場のプロモーション、商品開発やつっぱり棒を100%使いこなす方法が学べるセミナーなど、メディア出演だけではない、様々な企画を進めています。

 私自身は、今まで各商品ブランドのInstagramも担当していました。その知識も生かし、つっぱり棒博士のマネージャーという立場を超えて、”つっぱり棒博士”の魅力そのものや知識、ユーザーの皆様にプラスになる情報や取り扱い説明書には載っていない面白い裏話など、皆さんにつっぱり棒についてもっとお届けしていきたいです。