ビジネスパーソンに聞く仕事術
創業時から、弊社ではプレスリリースを中心とした広報業務に取り組んでいます。
しかしながら、まだ、ベンチャー企業であり、広報専任のメンバーはおりません。事業部に所属する兼任の2名中心の体制です。
お互いに営業などの業務とともに兼任をしているので、広報だけに注力できるわけではありません。事業部それぞれが広報の知識をつけてほしいということは、私たちのほうでお願いしています。
弊社は法人を顧客としたビジネスを展開しており、さらに各事業ごとにターゲットが、企業のマーケティング担当者、経営企画、新卒採用担当者、スマートフォンのアプリパブリッシャー、学校関係者・教育委員会、政治家・政党と幅広く、様々に異なっています。そのため各事業部ごとにターゲットメディアを選定し、メディアにリークでき、社会的価値のあるプレスリリースを作成できるように、ノウハウを広く浸透するように取り組むとともに、各事業部での経験やノウハウを集約できるように取り組んでいます。
社内での勉強会や事例・手法の共有に力を入れています。一番喜ばれるのは、このプレスリリースがどんな活動をしてメディアに載ったのか、テレビに取り上げられたのか、ということを解説することです。
リリース前にこういうことをやったからメディアに掲載されたということを共有しています。ただプレスリリースを書いて発信したから載ったわけじゃなく、原稿を作る時に、こういうネタを持ってきたから記事になって載ったんだよ、というように原稿を作成するところから振り返りますね。
当然毎回異なるテーマなのですが、例えば
「メディアってどういう視点なのか。社会的価値が高いかどうかっていうのを重要視しているよ、記者はこういう心理ですよ、だからこうしましょうと。どういう切り口を載せたらニュースになるのか、取り上げられなくても切り口変えてどんどん出しましょう」というようなことも勉強会で行っています。
事業部のほうでも、考えたうえでリリースを出したいということが多くなりました。事前に綿密に考えて広報にもってきてくれるので助かります。
サービスのPRではなく、社会的価値のある情報を提供すること、弊社としての社会へのメッセージを発信することにこだわっています。
そのためその事業が必要とされる社会的背景であったり、見過ごされてしまっている重要な視点であったり、そのときどきの社会の時流に基づき、各現場で起こっている状況やそれを解決するための方法や視点を明確にして、リリース作成していますね。
必要に応じて自社で調査を行い、データを作成することや、様々な調査・統計データを分析することで示唆させる。それに合わせ、図表や画像などを用意し、よりキーメッセージが伝わりやすいように心がけています。
そうですね、お陰さまでTVからの問い合わせも多いです。ただすぐにテレビから問い合わせにはならなくて、一回新聞などに載って、そのあとに特集などの際にもう一回拾ってもらうというケースです。
TVで露出できることは嬉しいことですが、露出することをゴールにはしておらず、ターゲットのお客さんがその媒体を見ているのか、という考え方なんですよね。BtoBなので結局、夕方のニュース出てもあまり意味がない。リリースする時は、ターゲット媒体を絞るほど、掲載されると考えています。
われわれとしてはメディアに取り上げられただけで問い合わせになるとは、あまり思ってないですね。結局、施策が充実してるかどうかがすごく重要だと思っています。「興味度をどう上げるか」というウェブ上の仕掛けがある程度ない限り、広報が露出させてサービスをなんとなく知ってもらってもそのあとに続かない。Web上で興味度を上げる施策とプレスリリースをしっかり連動させようと働きかけています。
例えば、内定者SNS「エアリーフレッシャーズ」においては、新聞やネットメディアだけでなく、ワールドビジネスサテライトにて二度放送されました。
ネットいじめ対策の「スクールガーディアン」においては、プレスリリースがきっかけで、多くの学校教育関係者の協力を得ることができ、事業スタートに至ったケースもあります。
最近では2013年のネット選挙解禁に伴い、ネット選挙の支援サービスも一ヶ月で4番組、NHKはじめ全国放送で放映されました。社会のニーズに合わせたプレスリリースを発信することで取材につながったと感じています。
発信よりもより情報収集という視点の広報を強化したい。もっと社会や生活者の動向に敏感になり、必要とされる情報を発信していくため、という意味です。
広報は記事掲載を通じて企業への信頼を作ることはもちろんですが、より社会的に価値のある情報を発信することで、他の企業や政府や様々な団体との連携を進め、社会的なムーブメントを起こすきっかけが作れると考えています。
そういった流れをつくり、また弊社が加わることで、弊社が社会の変化において必要なサービスとなるよう進化させ、社会に役立ち根付く事業を提供し続けられるように、各事業の現場が広報という手法を活かせる体制作りに磨きをかけていきたいと思います。