「京都勝牛」等、仕掛ける飲食店はどれも話題に。SNSデータからプレスリリースのテキスト・画像を選ぶゴリップのPR戦略

Client
株式会社ゴリップ
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  • PRは「コスト」でなく「強み」。新ブランドのコンセプトもPR視点で考える
  • SNS投稿のアクション率を踏まえ、プレスリリースに使うフレーズ・写真を選定
  • 1人で回す広報業務、プレスリリース配信を助けるPR TIMESの活用で効率化

サムギョプサル専門店「ベジデジや」、熟成牛ステーキ専門店「Gottie’s BEEF(ゴッチーズビーフ)」、牛カツ専門店「京都勝牛」、肉が旨いカフェ「NICK STOCK(ニックストック)」。明快なコンセプトを掲げるこれらの飲食店は、どれも飲食系企業・ゴリップが仕掛けたブランドです。

ゴリップは新ブランドの業態を開発する段階から、「どんな業態にすれば世の中にインパクトを与えられ、メディアで話題になるのか」という視点を持ってコンセプトを企画しています。そうしたPRを重視する企業風土が追い風となり、仕掛ける新ブランドはどれも、多くのメディアから注目を集めるようになりました。

そしてブランドを複数展開するようになり、店舗数も拡大するフェーズに入ったことで、「これまで以上に私たちの思いを情報発信していきたい」と考えるように。広報活動に本腰を入れ始め、1年半ほど前から企画本部 イノベーション部に広報機能を持たせるようになりました。

広報担当を任された金栄鶴氏は、未経験からのスタートながら「SNSから得られたデータを踏まえて、プレスリリースに使うクリエイティブを考える」など、創意工夫しながらゴリップの情報発信力を高めてきました。

メディア露出量を増やしてきた金氏は、成功要因の1つとして、広報業務に理解がある企業風土を挙げています。ゴリップ社内のどんな文化が広報業務を助けているのでしょうか。ゴリップの広報業務を1人で回してきた金氏に、独自に編み出したPRテクニックや、広報業務を効率的に運用していくノウハウなども合わせて聞いてきました。

「新たなマーケットを創る」。明確なコンセプトがPRのタネに

――「京都勝牛」や「NICK STOCK」など、貴社の店舗は多くのメディアで取り上げられています。それだけメディアから注目される要因は、どんなところにあると思いますか?

 ゴリップの企業理念は、「食文化に新しい風を。世の中に大きなインパクトを。人々にパワーを。」というものです。既存のマーケットを狙っていくのではなく、「新たなマーケットを創る」という信念を持っています。新しいブランドを考えるときには、これまでにない新たなコンセプトの業態を生み出そうとしますので、コンセプトが明確で自ずと世の中で話題になりやすい業態が出来上がります。だから、業態開発の段階でPRのタネが豊富に生まれ、PRする上で有利に働いています。

 PR担当の私も、業態開発の段階からプロジェクトに携わります。「どんな思いを持ってブランドコンセプトを決めたのか」「どんな商品を看板メニューにするのか」「メディアにどんな形で取り上げてもらいたいのか」といったポイントをしっかり理解できるので、その後の仕事を進めやすいです。

 さらに、プレスリリースや店舗の料理メニューに載せる写真の撮影、デザインなどを手掛ける部署は社内にあります。外注を使わず100%内製しているので、細かなところまで正確に意図を伝えられます。満足できないクリエイティブがあっても、すぐにデザイナーと相談してトライ&エラーで改善できるのも利点だと思います。

PRは「コスト」ではなく「強み」。トップの姿勢が広報業務を活性化

――PRを重視する企業風土なんですね。

 一般的な飲食業界の企業では、PRを含めた本部機能を担う部署のことを「コスト部隊」と認識しているところが多いはずです。

 一方、ゴリップは代表取締役の勝山がPRの重要性を誰よりも強く認識し、「PRがゴリップの強みを最大化する」と評価してくれるからこそ、PR担当の私がのびのび働けているのだと思います。

 勝山との距離感が近いので、いろいろと話をする機会も多いです。勝山との会話からアイデアをもらい、それを生かしてPR戦略を考えることもあります。

 そうした働きやすい環境もあって、私が広報担当になった1年半前と比べて、メディアでの露出量は大幅に増えてきました。実績が認められ、広報チームを強化しようと新卒採用も進めているところです。

「京都勝牛」東京初出店。半額キャンペーン、行列の実績を打ち出して注目集める

――配信したプレスリリースの中では、京都勝牛が東京に初出店したときに配信した「2015年11月『牛カツ専門店』3店舗同時オープン!“京都発”、連日行列のできる牛カツ専門店『京都勝牛』が、東京『秋葉原』『小川町』『竹橋』にグランドオープン」が、PR TIMES上で5万を超えるPVと、Facebookいいね!を約600件集めました。このプレスリリースがヒットした理由、どう分析していますか?

 「牛カツ」がグルメ系のメディアでトレンドワードになっていましたから、プレスリリースを普通に配信するだけでも、ある程度のヒットは見込めるだろうと考えていました。

 ただ、東京初出店のタイミングは、大規模なメディア露出を狙えるチャンスです。できるだけ露出量を増やすために、牛カツを半額で提供するキャンペーンを仕掛け、プレスリリースの中に情報として盛り込みました。

 もう1つ強く打ち出したのは「連日行列のできる」ところです。京都駅前店では毎日長蛇の列ができていること、名古屋・栄でシークレットオープンしたときには2日間で300人の行列ができたことを写真付きで紹介しました。説得力のある写真を添えることで、メディア関係者の注目を集められたのではないかと感じています。

ハンバーガーは断面のインパクト、パンケーキはフンワリ感を大切に

――貴社のプレスリリースを見ていると、魅力的な写真ばかりです。インパクトを与えられる写真を撮るコツは?

 例えば、ハンバーガーの写真なら断面のインパクトが伝わるものの方がいいでしょう。パンケーキを撮るのなら、うずたかく盛ってフンワリ感を演出するとおいしく見えます。

 そのように写真の撮り方は、店舗のブランドイメージや料理の種類によって正解が変わってきます。撮影するときには「さわやかなイメージで撮るべきか」「陰影を際立たせた方がいいのか」と常に目指す方向性を意識するようにしています。

 また、先ほどデザインなどをすべて社内で内製していると話しましたが、「この写真、もうちょっとシズル感が欲しいな」と思ったときには、料理長に頼めば社内にある試作用のキッチンですぐに料理してくれます。カメラ1台とストロボ1台をセットしてその料理を撮影すれば、20~30分ほどの時間もあれば自分のイメージどおりの写真を用意できますから、土壇場で撮り直しすることも多いです。

 そのように写真にこだわることで、Webで配信するプレスリリースの閲覧数や、メディアに取り上げてもらえる件数はずいぶん違ってきます。魅力的な写真を撮影するためには、労を惜しまない方がいいと思います。

プレスリリースとどう接触するか。受け手の状況を想定してWebとFAXで内容変更

 キャッチーなフレーズと魅力的な写真にこだわるのに加えて、「受け手がどのようなシチュエーションでプレスリリースと接触するか」ということにも配慮するようにしています。

 Webメディアでプレスリリースがニュース記事として取り上げられるときには、プレスリリースに添付した写真が掲載されることがほとんどです。「キュレーションサイトなどで記事になったときに、どんな写真が掲載されると読者は読みたくなるだろうか」と考えながら、添付する写真を多めに選ぶようにしています。

 また、最近ではスマートフォンなどを使ってキュレーションサイトを閲覧するユーザーが主流になってきました。スマホの小さな画面で見ても、見やすく分かりやすい写真になるように気を配りながら写真を選定しています。

 もっと言うと、記事として取り上げるネタをFAXで届いた情報の中から検討する編集部も多くあります。ゴリップもFAX配信でかなりの数の編集部にプレスリリースを送っています。そうしたFAX配信のプレスリリースは、Web掲載のプレスリリースとは中身を変えるようにしています。

 具体的に言うと、FAXで配信するときは、A4用紙1~2枚のコンパクトな情報量に。写真も白黒の状態でチェックしておいて、FAX配信しても見やすいものを選ぶようにしています。

反響が集まるフレーズ・写真は? SNSのデータから正解を探る

――「キャッチーなフレーズと魅力的な写真」というキーワードが出てきましたが、どんな素材が「キャッチー」で「魅力的」なのかを見抜くのはなかなか難しいことのように感じます。

 私の場合は、広報だけでなく広告配信やSNS運用なども業務として担当しています。そうした業務を通じて、どんなフレーズや写真を使うと反響が良くなるのか、経験を積んできました。そのおかげで、大きな反響を得られるフレーズや写真はどんなものか、何となくつかめてきたところがあります。

 そしてプレスリリースに使うフレーズや写真を選ぶときには、SNSから得られた実績データも参考にしています。事前にSNSで配信した投稿に対するアクション率などから、「このタイトルよりも、あちらのタイトルの方が反応は良かった」「今回の写真の方がクリック率は高い」といった分析をして、最終的にプレスリリースで使うフレーズや写真を決めるようにしています。

 そのように、自分なりに工夫してノウハウを蓄えていくことで、広報活動の成果は着実に増やしていくことができると考えています。

広報に加え、新店立ち上げの進行管理も。業務効率を上げようと積極的にツール活用

――現在、広報業務は金様が1人で回していると伺いました。広報以外にも担当している業務があるそうですね。広報には、どのくらいの時間を割いているのでしょうか。

 広報業務が7割、その他の業務が3割といった内訳です。

 広報担当としては、プレスリリースの制作、SNSの運用、PRイベントの企画・運営、メディア担当者とのコミュニケーションなどが主な業務になります。写真素材については、実は私が撮影しています。

 広報以外には、新店舗の立ち上げに向けた進行管理なども受け持っています。関係者が参加する打ち合わせの調整や、進捗状況やプロジェクトに関する情報の集約・共有なども担っています。

――それだけの量の業務に対応していくため、普段から心掛けていることは?

 社会人として基本的な事項になりますが、自分のスケジュールと業務の対応にかかる時間をしっかりと把握しながら、仕事の優先順位を付けていくことでしょうか。

 あとは、プレスリリース配信についてはPR TIMESに頼るなど、業務効率を上げるため、積極的にツールを利用するようにしています。

 PR TIMESを利用すると最大300媒体に一括配信できます。この配信作業をメールやFAXを使って自分で作業しようと思ったら、とても手間がかかってしまいます。

 もちろん、ツールを利用するとしても、効果を最大化するための努力を怠ってはいけません。私の場合、PR TIMESを活用するときに譲れないのは、1回の配信ごとに配信先のメディアリストを加工すること。適切なターゲットに情報を届けられるように、配信先のメディアを選ぶ手間は惜しまないようにしています。

 例えば、新規出店のプレスリリースを打つときには、新店舗の出店エリアをカバーするローカルメディアを漏れなくリストに入れるのは当然のこと。対象ブランドが若者層向けの飲食店ならWebメディアを中心にリストアップしますし、シニア向けの飲食店なら雑誌や新聞の割合を増やすでしょう。

 そうした作業をするとなると、ツールの使い勝手がよくないと大変です。その点、PR TIMESの企業向け管理画面はかなり使いやすいインタフェースに仕上がっているので、使っていて便利だなと感じます。

広報チームの人員を増やし、企業ブランドのPRに取り組みたい

――広報業務を今後どうしていきたいか、最後にうかがえないでしょうか。

 これから、広報チームの機能を強化していきたいと考えています。

 特に力を入れたいのは、企業ブランドのPR。これまでは新業態開発や新規出店のたびにプレスリリースを打ってきましたが、そうした業態・店舗を仕掛けるゴリップという企業がどんなことを考えているのか、社会にどんなインパクトを与えていきたいのかといった情報を発信していきたいです。

 そのためには、新卒で広報担当者を採用するなど、現状は私1人で回している広報チームの人員を増やしていくことも必要でしょう。中途からの採用も検討していますので、「広報活動の重要性をしっかりと理解してくれる成長企業で働きたい」と考えている広報経験者や、アイデアマンの方には、ぜひ応募してきてもらいたいですね。

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