ビジネスパーソンに聞く仕事術
輸入生活雑貨の小売店「PLAZA」。世界中からこだわりの商品を集め、目新しい商品、話題になりそうな商品を次から次へとセレクトして紹介しています。
そんなPLAZAにとって、5~6年ほど前から課題として浮かび上がってきたのが、スマートフォンの普及によるライフスタイルの変化。Webメディアの影響力が大きくなっただけでなく、トレンドのサイクルが短くなり、ヒット商品の人気が継続しにくくなるといった変化が起きたそうです。
そうした変化に対応するため、PLAZAの運営会社、スタイリングライフ・ホールディングス プラザスタイル カンパニー(以下、プラザスタイル)はWeb PRを強化。お薦めの新商品やキャンペーンの情報発信量を増やしました。新店舗のオープン情報、ライセンス商品情報などを含め、今では1カ月に10本以上のプレスリリースを配信することも珍しくありません。
そこから同社はもう一歩踏み込み、プレスリリースを自社メディアのひとつと捉え、SNS、ブランドサイト、ポイントカードサービスなどと連動させることにより、来店や販売に直結するより効率的なWeb PRに取り組もうと試みています。
プラザスタイルはどのようなプロジェクトを進めているのか、同社の販促宣伝本部で広報を担当する田寺麻美氏に話を聞いてきました。
毎月、非常に多くの商品情報をPRしています。PRする情報をどのように選んでいるのでしょうか。
商品部から届く商品計画を踏まえ、その中から「この新商品は多くの人が興味を持つはず」「来店につながるだろう」と感じた情報をピックアップし、テンポ良く、タイミング良く配信するようにしています。
輸入生活雑貨の小売というビジネスは、昔と比べて大ヒット商品が生まれにくくなってきました。1アイテムの在庫を大量に持たないオペレーションに移行してきたこともあり、ヒットしたからといって爆発的に売上が増えるようなことはなくなってきています。
そうした背景もあり、より魅力的なネタを連発し続けること、またそれらの情報をより広く、多くの方の目に届くよう工夫をすることが私たち広報に求められるようになっています。
所属は販促宣伝本部です。やはり広報にも、来店や売上につながるような活動が求められているのでしょうか。
そうですね。広報活動の成果を具体的な数値に落とし込んで計測するのは難しいのですが、常に“人が動く”ことを意識しています。
例えば、PLAZAにはポイントカードサービス「PLAZA PASS」があります。スマホアプリもリリースしていまして、会員数は216万人前後となっています。非常にアクティブな会員が多く、情報次第で面白いほど反響が得られます。
そこで「PLAZA 越谷イオンレイクタウン店」の併設カフェ「Café Barbapapa(カフェ バーバパパ)」で1周年記念のキャンペーンを実施したときには、PLAZA PASSとWeb PRを告知ツールとして使いました。
PLAZAのブランドサイト内バーバパパ・キャラクターページに1周年記念キャンペーンの情報を掲載して、そのページへのリンクを記載したプレスリリースを配信しました。その上で、埼玉県や近隣県に住むPLAZA PASS会員に向けてターゲットメールを送ったのです。
プレスリリースでより広く認知を促し、ターゲットメールでより深く消費者にアクセスする。興味を持ってくれた方はブランドサイトを訪れ、キャンペーン情報とともに関連するほかのリコメンドにも触れてもらう。そんな設計をイメージしました。
PLAZAのブランドサイトとは別に運営しているカンパニーサイトのリニューアルに向けて準備中と伺いました。リニューアル後はプレスリリースの掲載方法を工夫するそうですね。
はい、ちょうど今、リニューアルを進めていまして、PR TIMESを使って配信したプレスリリースをトップページのニュース欄に自動掲載できるシステムを構築しようとしているところです。
ここをシステム化することで、ページ制作の費用や手間を大幅に減らせるようになると期待しています。
手間を減らす、という意味では、最近ではプレス対応の1次窓口としてPR TIMESのページを利用するようになりました。
よくメディア関係者から「何か新しい情報はありませんか?」と問い合わせが入るのですが、「その件については、PR TIMESのこのページに詳しい情報を載せたので、このURLを見てください」と連絡するだけで済むようになりました。今では「このプレスリリースのこの部分について詳しく教えてほしい」といった踏み込んだ質問がくるようになってきました。また画像のやり取りも、多めにアップしておけばそこから選んでもらうことができるので便利です。
PR TIMESを活用することで、プレス対応の手間も減らせるようになったと感じています。
貴社から配信するプレスリリースの中には、5000PVを超えるものも珍しくありません。それだけ注目を集めるプレスリリースを書くコツを教えてください。
商品を紹介するプレスリリースなら、とにかくその商品のことを好きになることでしょう。
そして「好きになったけど、私はこの商品のどこを好きなんだろう」と考え抜いて、どんなキーワードを使えばその商品の魅力を伝えられるのか、言葉を吟味するようにしています。
またSNSが普及したことで、言葉だけではなく、画像の影響力も大きくなってきました。画像のインパクト次第で拡散力は大きく変わりますから、プレスリリースに添える画像の工夫も欠かせません。
先ほど紹介した「Café Barbapapa」の1周年キャンペーンのときにも、1周年限定メニューとして発売する「バーバパパのピンクカレー」の画像にはこだわりました。最初に店舗から届いたのは、メニューに掲載するような定番な構図の写真。それでは満足できなかったので、「もっと寄って撮って」「下から撮って」とリクエストして写真を送ってもらい、プレスリリースに掲載する1枚を選びました。
あとは、やわらかい言葉遣いで原稿を書くことも大切だと思います。丁寧過ぎる言葉遣いにはしない、区切りよく体言止めを使う、漢字は使いすぎない、といった点を意識しています。
一昔前まではプレスリリースを見るのはメディア関係者だけだったかもしれません。それが今では、消費者もプレスリリースを直接読むようになっています。かたすぎる文章では読む気がなくなってしまうかもしれませんから、消費者が読者になることを意識して原稿を書くようにしています。
最近のプレスリリースの中で、特に反響が大きかったものを教えてください。
「ウォーリー柄のケチャップ!? 『ハインツ』史上初のコラボレーションボトルが数量限定で登場!」というプレスリリースになります。
PR TIMES上で8000PV以上を集め、多くのメディアに取り上げられました。
このプレスリリースは、Instagramとメイン画像を共有しました。当社ではInstagram、Facebook、Twitterを運用していますが、その中でもInstagramのフォロワー数は12万2000人ほど。ファンがコメントを書き込んでくれることも多く、とても手応えを感じています。
Instagramは、消費者とダイレクトにコミュニケーションを重ねる媒体なので、いつも「共感」(受け手がどう感じるか)を意識して投稿する写真を工夫しています。プレスリリースの写真は、昔ながらの宣材写真的なモノをモノとして正しく撮るものが多いと思いますが、Instagramの手法に準じた写真にした方がリアクションは大きくなります。
これまでWeb PRに取り組んできた感想を最後に伺えないでしょうか。
Web PRは、タイムリーにすぐ情報を発信できます。雑誌メディアが主流であったころは、2~3カ月前にはプレスリリース配信しておかないと間に合いませんでした。それがWebメディアでの露出を目的としたPRなら、前日に配信しても間に合います。
当社のような小売業は、短いスパンでさまざまな情報を出していきたいので、こうした利点のあるWeb PRとの相性はすごくいいと感じています。
また、テレビや雑誌のメディア関係者がWebメディアの記事を見て、次に取り上げるネタを考えることも増えてきました。Webでの露出さえ確保できれば、テレビや雑誌でも取り上げられる可能性はあります。その意味でも、Webでの露出を増やしていく必要があります。
ただ、いくら多くの情報をがんばって発信しても、その情報が拡散しなくては意味がありません。自社サイトにプレスリリースを掲載するだけでは多くの人に見てもらえないかもしれませんが、PR TIMESのようなプレスリリース配信サービスを利用すれば、自然と情報が拡散していきます。
使い勝手の面にしても、文系人間はどうしてもWeb関連の業務に苦手意識を持ってしまいがちですが、PR TIMESのプレスリリース作成画面は心地よく使えます。プレスリリースを入力して配信するまでの作業が苦にならず、サクサク作業が進みます。分析データの画面もとても見やすいです。
もっと言えば、PR TIMESの料金プランの中には、プレスリリースを何本打っても料金は定額で変わらない月配信無制限プランがあります。当社もそのプランを利用していまして、何の気兼ねなく配信できるのもいいですね。
今後もPR TIMESを使いながら、“人が動くPRとは?”と模索していこうと思います。店舗をオープンする前に開催するプレス向けの内覧会の案内をメディア関係者限定で配信するようなことも試してみたいですね。