CULTURE 74

与えられた環境で自らを変え、新人賞に。苦しいことも楽しめる“青春”に気付くまで

  • 金子 ミチル(PR TIMES事業ユニット 第一営業部サクセスチームマネージャー代行)

DATA:2025.10.23

迷わず突き進んでいるように見える人ほど、周囲からは見えない葛藤と戦い、一歩一歩前進しています。『#PR TIMESなひとたち』は、「PR TIMESらしさってなんだろう?」について、社員の挑戦や努力の裏側、周囲からは見えづらい地道な一面に迫り、わたしたちの日常をお届けしていくコーナーです。

今回は「2024年度通期社員総会」で、新人賞(以下、ROY)を受賞した金子さんにインタビュー。

以前、チームでの受賞経験がありながら、個人での受賞は初めてという第一営業部・金子ミチルさん。新卒1年目の配属先として第1希望が叶わなかったこともあり、「あまり仕事が楽しくなかった」というスタートを切った金子さんのマインドが変わった変化点は何だったのでしょうか。お話を伺いました。

金子 ミチル

金子 ミチル

PR TIMES事業ユニット 第一営業部サクセスチームマネージャー代行

上智大学新聞学科を経て、2023年新卒としてPR TIMESに入社。
初期研修終了後から営業部に所属し、現在もプレスリリース配信サービス「PR TIMES」の活用支援を行う。
社内プロジェクトでは、非営利団体サポートプロジェクト・社員総会・プレスリリースエバンジェリストなどを経験。
非営利団体サポートプロジェクトではPR TIMES社員が非営利団体で広報実務を経験する「NPO広報研修プロジェクト」の立ち上げを実施。

自信を持つのはやっぱり難しい。それでも「還元したい」という思いが力に

ROYの受賞、おめでとうございます!受賞が決まったときの想いをお聞かせください。

「信じられなかった」というのが率直な想いでしたね。今回いただいたROYは、社会人歴5年以内で業績成果を出し、Valueを体現した個人に対して贈られる賞なのですが、自分自身の変化ってなかなか気づきづらかったりするじゃないですか。受賞を知らせていただいたときも、「私って何が変わったんだろう」「会社に対して、この1年で大きく貢献できたんだっけ」という懐疑的な気持ちが先にきてしまって。最初は「うれしい」とか「やった!」といったポジティブな感情はそこまで湧いてこなかったです。

金子さんは、以前チームでの受賞経験もありますが、そのときとは受け止め方が違いましたか?

あのときは「自分は何もできていない」と思いながらも、チームでの受賞ということだったため、「みんなのおかげで自分も受賞メンバーの一員でいられた」ということで納得した感じでした。対して今回は個人賞だったため、「私は何を成し遂げられたんだっけ」と自分を見つめ直すことになりましたね。

受賞が決まったあと、社員総会当日の受賞者プレゼンのために担当役員と壁打ちをするのですが、そのときも「なぜ受賞できたのかわからない」と正直に話しました。確かに営業部としては、代表の山口さんが入られて組織改革が進み、組織がより良く変わってきた1年でした。その一助に自分がなれた部分もあったでしょう。しかし、それはあくまでも環境のおかげであり、私個人の力ではないという思いが大きくて。それを担当役員にそのまま話したところ、「何かあるはずです。考えてみてください」と返されました。

どういった答えが見つかりましたか?

部としてまだ出来ていないことを見つけて、そこで数字を出すためにはどうしたらいいんだろうと人任せにせず考えるようになったことそしてそれを自分とチームの行動に落としていく作業ができるようになったのかな、と振り返りました。これまで以上にお客様や一緒に働く仲間に対して「貢献したい」という気持ちが芽生えたことで、前向きに考えようという気持ちに変わっていったのかなと思いましたね。

その変化が自身に起こった理由はなぜだと思いますか?

そうですね。2年目で、まだまだ何もできない私に対して、1on1で何度も時間を割いてくれる上司がいること、半期や四半期のフィードバックで私自身に向き合ってくれる方がいること、また日々助けてくれるメンバーがいることなど、いろいろな方の存在が「還元したい」という気持ちが生まれることにつながっているのだと思います。

あとは、営業部そのものが変化のタイミングでもあったので、新たに入ってきたメンバーに自分の能力や経験、やってきたことを伝えるために言語化しなければいけなかったことも関係していたかもしれません。それぞれのメンバーに対して、「営業部を率いてがんばっていってほしい」と思っているので、そのためにも自分が出来ることをしなければという責任感みたいなものがあったんじゃないかなと。

受賞という結果につながったことが、何かご自身の自信にはつながりましたか?

正直なところ「やっぱり自信を持つのって難しいな」という感じです。賞をいただけたことは大変ありがたいのですが、今もどこか「まさか自分がいただけるなんて」という気持ちがあるのが率直な気持ちです。高い目標を掲げて取り組んでいるという自負はありますが、私の周りにはさらに高みを目指して成果を上げている人たちがいるので、「自分はまだまだ」と思うところがあるのかもしれません。

いろいろな方の存在で「還元したい」という気持ちが芽生えたというお話でした。受賞スピーチでは「できるは自信に、できないは伸び代に捉えることにしました」というお話もされていましたが、このマインドの変化の背景についてもお訊きしたいです。

ずっと「あまり仕事を楽しめてないなあ」と思っていたんですよね。週5日間、営業部にいるから義務的に営業をしている感じで。それって、良くないなと思ったんです。楽しそうに働いていない人に依頼したいとは思わないだろうし、一緒に働きたいとも思わないだろうなと。

弊社には会社全体でその月に誕生日を迎える方々を祝うイベントがあり、そこで自分の「応援してほしいこと」を発表するんですね。私は9月生まれで、24年9月に行われたこのイベントで、「この1年、私は楽しそうにします!」と宣言しました。自分が楽しそうに働いていたら周りの人にも影響があるかもしれないし、自分にできることが少しでも増えるんじゃないかなと思ったんです。口に出したことで意識が強まったのか、そこから「できないことがあるのは、できることを増やして次のステップに進めるということ」と、前向き思考になっていったように思います。

「楽しそうに働いていると、周りにも影響があるのでは」という考えは、部門長である小暮さんを見ていても感じることなんですよね。小暮さんは常に仕事に対して前向きで、真剣なときも当然ありつつ、基本的に楽しそうに話してくださることが多くて、その雰囲気がチームの雰囲気を良くすることにつながっているなと思って。

24年下期の走り出しに第一営業部のみんなで集まったときも、「高い目標だけど、みんなでやれば絶対できるからがんばりましょう!」と鼓舞するように前向きな声をかけてくださって、これが良い雰囲気にしてくれたんじゃないかなと。「目標が高すぎる…がんばらなきゃいけないよ」と追い込むような発言ではなく、「がんばろう!」と楽しそうにすることが、周りにも良い形で伝播するんだなと実感しました。

そこから、これまでであれば「きっと難しいんじゃないかな」と思ってしまいそうなお客様の案件やプロジェクトの受け止めが早くなりましたし、納得感を持って自分から高い目標を発信できるようにもなったんです。

配属希望が叶わず、他責思考でスタートした1年目

金子さんは、新卒入社後の配属が第1希望ではない営業だったそうですね。当時の想いはいかがでしたか?

当時の私はかなり他責で、「なんで会社は私の考えていることを理解してくれないんだ」とすら思っていました。でも、そもそも営業部は自分で第2希望として書いていた部署でした。PR TIMESの新卒研修は配属希望を出せるすべての部門を研修として回り、実務やチームを知った上で自分自身の希望を出す形式がとられているので、もし営業に抵抗があったとすると、それは自分が配属希望を考えきれなかったからなんですよね。でも、当時の私はそんなふうには思えず、やる気がないような態度をとっていただろうなと思います。

今の金子さんは非常に前向きなコミュニケーションを取られている印象があるので、楽しくなさそうにされていたことが意外でもあります。そこから変われたのはなぜでしょう。

やはり環境のおかげですね。先ほどもお話したように、私に向き合ってくれる人たちがいたこと、新メンバーが入ってきて自分が教える、伝える側に立ったことなど、環境が先にあって、考え方の変化がついてきたという感じです。

私は入社前に8カ月インターンをしていたんですが、本当に次々に新メンバーが入ってくるんですよね。私はつい自分に言い訳を作ってしまうタイプなので、「まだ新人だから」の言い訳を作れない環境にいられるのはありがたいなと思います。

今は部の雰囲気を引き上げることを考え、誰に対しても「これがダメでしたよ」ではなく「もしこうなったらこんな良い方向に向かうと思いますよ」という前向きな伝え方を意識しています。できたところを見て未来にわくわくできるようにしたい。なので「楽しそうに過ごす」「笑顔で話す」人でありたいなと思っています。

苦しさが顔に出てしまうこともあるとは思うのですが、人と話すときにはできるだけ思いつめた感じにならないよう意識して、笑顔を絶やさないようにしたいなと思っています。

大きな成長ですね。ご自身のインターン中と今とで、会社への感じ方には変化がありましたか?

お客様に真剣に向き合い、ひとりのお客様にこれだけの時間をつくるんだと思えるのは、当時も今も変わらないですね。社内にいて「これだけ向き合ってるんだ」と周囲の人たちの頑張りがわかるのが、インターン当時から好きなところです。

ただ、インターン中は仕事の一部分しか見えていなかったなと思います。お客様に向き合うには、それ以前にお客様について考え抜く時間があるんですよね。インターン中は、その考えのもと伝えられる仕事の手伝いをしていたレベルだったので、「思っていた以上に泥臭い仕事だったんだな」と感じています。

ちなみに、営業部への配属が決まったあと、「希望と違うなら転職しよう」という考えはよぎらなかったですか?

それはなかったですね。「自分の選択を正解にする」と思って生きているからだと思います。まだ十分に関わり切っていない段階で、「PR TIMESに入り、営業部に配属されたこと」を不正解だとは思いたくなかったんです。

あとは、配属後、まだそれだけ時間が経っていない時期であるにも関わらず、自分だけついていけないのが悔しかったんですよね。「希望先じゃなかったし、しょうがないよね」と自分への言い訳をしつつも、やっぱりもやもやした感情もあって。だから、本当に向いているかいないかわからない段階で音を上げたくない、わかるまでは続けるという気持ちがあったのかなと思います。

そもそも、ミッションに共感し、事業が好きで入社を決めたので、何とか続けていきたい気持ちが大きかったですね。

金子さんはその後、NPO広報研修プロジェクトの立ち上げやPR TIMESカレッジでの名古屋拠点責任者など、多岐にわたるプロジェクトを任されています。本業である利用促進業務以外でのこうした経験は、自身の成長にどうつながっていると感じますか?

営業をしながらプロジェクトを進めなければならない状況に置かれたことで、苦手だったマルチタスクができるようになりました。

もうひとつは、お客様の悩みや、想いを裏側まで知れたことですね。営業では、プレスリリースを中心に考えばかりを注視しがちなのですが、プロジェクトでは自然とお客様の悩みを広く見るようになって、裏側にある想いまで知れたのが良かったなと思います。

営業として「もっとプレスリリースを発信してもらうためにはどうしたらいいのか」と考えてしまっていた時期があるのですが、実はお客様にとってはその手前でもっと悩んでいることがあったんだと気付くことができ、私はそれらの悩みをすっ飛ばしてしまっていたんだなと思いました。お客様の業務をより理解できるようになったことで、どうすることがお客様の喜びにつながるのか、実体験から理解できたのが大きかったです。

たとえば、社会貢献活動に取り組む団体にて、PR TIMES社員が広報担当として3か月間研修を行うの広報を無償で支援して社会課題の解決を後押しするNPO広報研修プロジェクトでは、団体の広報担当者の方はプレスリリースの出し方に関して悩んでいるわけではなく、そもそも広報活動をどうしていくのがいいのか悩んでいることに気づけたことは大きな学びのひとつです。私を含め、営業の多くは広報業務を実際にやったことがなく、広報をされているお客様の目線に立ちたいという思いから行ったのがNPO広報研修プロジェクトで、自分にとっても役立ったなと思います。

PR TIMESカレッジは、PR TIMESを長くご利用されている企業向けのイベントで、東京、札幌、愛知、大阪、福岡の五都市で開催しました。開催までにあまり時間がなかったため、これまでのプロジェクトでは経験したことのないスピード感で判断、行動しなければならなかったこと自体がいい経験になりましたね。当日は、お客様同士が各会場で対面で楽しそうに会話されているのを見られてうれしかったですし、私自身もお客様と話せて、本当に楽しかったです。

他者視点を持ち、考えて行動できる力を磨きたい

今回の受賞を経て、今後どのような目標を掲げて取り組んでいきたいと考えていますか?

第一営業部のメンバー、プレイヤーとして、きちんと数字を上げられるようになり、会社と組織の目標達成に貢献したいです。自分がどのような行動を取れば周りの人の成長や活躍につながるのか、もっと貢献できるようになりたいという想いを持ってもらえるのかなど、自分視点だけではない視点を持ってより自分自身が行動していきたいと思っています。

あとは目の前のことに一生懸命取り組むことはできるようになったので、これからは未来から逆算して今やるべきことを見出したり、メンバーに必要な仕事を依頼したり、一緒に取り組んだりと、考えて行動できるようになりたいですね。もともと考えるのは苦手なんですが、PR TIMESが「Why」を考える会社であることもあり、だんだんと考えるのが当たり前になってきました。部としていい結果を出すことにつながればいいなと思っています。

今改めて振り返ると「営業部でよかったな」と思うんですよね。山口さんが「青春」という言葉をよく使われるんですが、本当に青春って感じなんです。苦しいこともありますが、目標に向けて一緒に頑張れる感覚があって、「この部だったら変えられそう」とまだまだワクワクできる余地があります。

執筆=卯岡若菜、構成=今本康太、編集=名越里美、撮影=高橋覚