CULTURE 11

みんなの“居場所”を作りたいー社内ティータイムの運営から見えたPR TIMESのカルチャーとは

  • 仲村 亜紀(株式会社PR TIMES 経営管理本部)
  • 吉田 恒(コーヒーショップ『私立珈琲小学校』オーナー)

DATA:2020.01.30

社員同士のコミュニケーションを活性化させるには、どのような取り組みが求められているのだろうか。ひとつの明確な答えはないこのテーマに対して、試行錯誤する企業は少なくない。

PR TIMESもそのうちのひとつだ。そしてその一歩になればという想いを込めて、2016年の移転と同時に、オフィス内にカフェスペース『TIMES GArDEN』を設けている。現在この『TIMES GArDEN』では、コーヒータイムとティータイム、二つのコミュニケーション活性化の取り組みが実施されているという。

今回のインタビューでは、ティータイムの運営を任されている、経営管理本部の仲村 亜紀(なかむら・あき)と、毎週月曜日にGArDENでコーヒーを淹れてくださるバリスタ『私立珈琲小学校』の吉田 恒(よしだ・わたる)さんを迎え、カウンター越しに見えたPR TIMESのカルチャーについて二人に話を伺った。

仲村 亜紀

仲村 亜紀

株式会社PR TIMES 経営管理本部

大学卒業後、学習塾に講師として就職。その後、公立中学校の数学教師を15年間務める。2018年に株式会社PR TIMESに入社。経営管理本部にてインナーコニュニケーションに関する業務を中心に、アシスタントを務める。

吉田 恒

吉田 恒

コーヒーショップ『私立珈琲小学校』オーナー

小学校の教師として21年間勤務後、食の専門学校等で学び、池尻に「私立珈琲小学校」をオープン。「学校は出会いの場」というコンセプトをもとに、様々なアーティストや飲食店とのコラボレーションを行う。現在はコンテポラリーギャラリー内にある「私立珈琲小学校 代官山校舎」、インターネットラジオ局内にある「私立珈琲小学校 音楽室」、外遊び好きが集まるシェアスペースMAKITAKI内にある「放課後 HOKAGO」と3つの校舎から「…とコーヒーのあるちょっと豊かな日常」を提案している。

従業員みんなが“ここが私の居場所だ”と思える時間を作りたい。

まず、カフェスペース『TIMES GArDEN』と、コーヒータイム、ティータイムの取り組みの概要について教えてください。

仲村 亜紀(以下 仲村):カフェスペース『TIMES GArDEN(以下GArDEN)』は、2016年のオフィス移転をきっかけに、社内コミュニケーションの活性化を目的として設けられたスペースです。吉田先生には GArDEN立ち上げ当初から週に一度、月曜日に出張バリスタとしてコーヒーを淹れていただいています。

株式会社PR TIMES 経営管理本部 仲村 亜紀

吉田 恒(以下 吉田):PR TIMES移転プロジェクトの際に、PR TIMESさんに「オフィスにカフェスペースを作るので、コーヒーを淹れていただけないか」とお声がけいただいたのがきっかけでした。

社員が幸せに働き続ける環境作りに対して、予算をとって意欲的に取り組めている会社はそう多くありません。でも、PR TIMESさんは2016年から真摯に社内の環境づくりに取り組んでいるので、私も「ご一緒する中で皆さんの素晴らしい仕事に寄り添うものを提供したい」という想いで、毎週カウンターに立ってます。
一生懸命仕事をして簡単に食事を済ませることも良いと思いますが、「良いものを口にして、良いものに触れる」そんな時間も時には大切だなと、PR TIMESさんに伺ううちに考えるようになりました。

『私立珈琲小学校』オーナー 吉田 恒

仲村:そのあと『ティータイム』の取り組みがスタートしたのが2018年7月。月曜以外の平日、午後の一時間をティータイムとして、私がカウンターでお茶やドリンクを提供しています。

吉田さんの提供する『コーヒータイム』が好評だった中、2018年から『ティータイム』もスタートしたんですね。どのような経緯だったんでしょう?

仲村:代表の山口から「月曜日以外も、GArDENのスペースを起点としたコミュニケーションをより活性化させたい」と相談があったことがきっかけですね。私が“提供する側になれる”というのはすごく嬉しかったことを覚えています。

入社当時まだ仕事にも慣れなくて常にデスクでガチガチに緊張していた私にとって、GArDENで過ごすコーヒータイムはとても大切だったんです。少し席を離れてGArDENに行くと、吉田先生が笑顔で迎えてくれて、ホッとする……。吉田先生との会話と淹れてくださるコーヒーが、心をほぐしてくれるようでした。


だから、自分と同じように心細く感じているかもしれない人へ、今度は私が力になれるかもと思うと「こんなに嬉しいことはない!」と思ったんです。『ティータイム』の目的も、その最初の想いから作りました。まずは、“社員が「ここが私の居場所だ」と思える時間を作ること”。そして、“この会社にあるたくさんの良いところを伝えて、好きになってもらうこと”。この2点は今でも大切にしています。

ティータイム初日に改めて感じたOpen&Flatなカルチャー

山口さんから声をかけられて、実際にティータイムがスタートするまで、どのように準備を進められたのでしょうか?

仲村:プロジェクトの相談からオープンまでは約2週間だったんですが、お茶や備品を揃えたり、美味しく淹れる方法や提供する時間を短縮する運用を研究したり、慌ただしく過ぎましたね。

これまでGArDENに立っていた吉田さんにも意見を聞いたとか…。

仲村:はい。全く経験がなかったので、まずは一緒にプロジェクトを進めていたメンバーと、たくさんのアイディアを出し合いました。最初のうち、私たちは食べ物や飲み物を充実させたら皆集まってくれるんじゃないかと、提供する商品についてばかり考えていたんです。でも、吉田先生に相談すると「人はモノに集まるだけではなく、人にも集まるもの。だから、商品は勿論、カウンターでの会話も大切にした方が良い」とアドバイスをいただきました。

当時計画に使用していたノート

そのアドバイスには、どんな意図があったんでしょうか?

吉田:カウンターで良い商品を提供する以外に、相手のパーソナルな情報を知ったり、興味を持ったりすることは、コミュニケーションを円滑にする効果があると思っているんです。

普通に業務をしていると、職場の同僚の趣味やプライベートの過ごし方について共有することって難しいですよね。でも、そうした個人的な情報をやりとりすることで、相手への理解が深まり、新しい関係性を築くことができることがあります。それが巡り巡って、仕事上のコミュニケーションをスムーズにすることにも繋がるんじゃないかと思うこともあるんです。

仲村:すごく有難いアドバイスでした! お伺いした話を必死にノートに書き留めておいたのを覚えています。実際にお茶を仕入れる時にも、吉田先生のアドバイスも参考に、PR TIMESをご活用いただいている企業さんの商品を取り寄せたり、人気のお菓子を提供したりと、話題のきっかけ作りは今でも力を入れている部分なんです。


とても試行錯誤して準備されていたことが伝わります。実際ティータイム初日は、どんな反響がありましたか?

仲村:正直「最初は様子見で遠巻きにみられちゃうかな」と思っていました。でも、蓋を開けてみれば、みんな興味を持ってカウンターに来てくれたんです。きっと私が初めての試みに不安を感じていたのを分かって、応援する意味で集まってくれた方もいたでしょう。改めてPR TIMESのメンバーの温かさに気づかされた瞬間でした。

吉田:確かに、そこは僕が皆さんとご一緒させていただくようになった当時から変わらない、PR TIMESさんの素敵なところだと思ってます。これはコーヒーやティータイムだけの話ではなく、どんな取り組みでも会社のために動いている人を讃えたり、感謝するカルチャーが素晴らしいと思います。

私のように社外の人間でも分け隔てなく接してくれて、毎週「待ってました!」と声をかけてくれたり、いつ来てもドリンクのゴミが片付いて、洗剤や備品が補充されていたり…。誰に対してもオープンでフラットですし、こういう細やかな心遣いに、PR TIMESさんの優しさや感謝、頑張る人を応援する文化が現れているんじゃないでしょうか。


仲村:ティータイムを実際に開始して「ティータイムは、みんなで作っていけるんだ」と思うようになりました。自分ひとりで全部用意しなくても、場所やお茶のようにきっかけを用意できれば、PR TIMESのみんなで盛り上げていけるんだなと。

コミュニケーションを活性化させる、ネクストステージの展望とは

ティータイムを開始してから現在約1年半ですよね。当初から変化はありましたか?

仲村:PR TIMESでは変化していくことも大切にしているから、何か新しいことを始めるべきなのかと考えたこともありましたが、いまは“軸”をブラさずに進化していこうと決めています。実は、ティータイムを始めて半年がたったころ、山口がカウンターにきて、「ネクストステージだね」と言ったんですよ。いつも山口は余白のあるオーダーを出して、そこからメンバーが広げたり形にしたりする過程を見守ってくれるんです。なのでその一言にどういう意図が込められているのか、とても悩みました…。


これまでティータイムで大切にしてきた、“居場所を作る”、“私たちが感じる会社の好きなところを伝えていく”というコミュニケーションの場づくりへの想いはそのままに、ネクストステージで注力していきたいのは、“人と人とを繋ぐ”こと。ティータイムによって生まれた会話をきっかけに、メンバー同士のより強い繋がりを作りたいと考えています。

そのために、カウンターに置くものや会話の運び方を変えることにしたんです。派手な変化ではないけれど、目に見えない“人と人の繋がり”を築き上げることが、次の進化に繋がると思っています。

これまでティータイムを続けてきて、手応えは感じますか?

仲村:いくつかありますね。まずは、雇用形態に関わらず社内でのコミュニケーションが活性化され、社内イベントの参加率も上がりました。

ティータイムの中で社内イベントの案内をするので、「そのイベント、正社員じゃなくても参加できるんですか?」と聞かれたときに、「誰でも参加できるし楽しかったから参加しようよ」というコミュニケーションが自然に生まれるんです。私はティータイム以外も、社内イベントの業務に関わっているので、ここで聞けた意見を反映させることも出来て、いい流れが生まれていると感じています。

あとは、カウンターにPR TIMESがメディア掲載された紙面の切り抜きを掲載しておくことで、それをきっかけに社員同士でお互いの仕事を知ることや興味を持つことに繋がっていますね。切り抜きを介して会話が広がっている様子を見ると、嬉しいです。

吉田:僕がよく見るのは、部署を越えて気軽に相談しているシーン。特別な会議を設定するのではなく、「ちょっと聞いていい?」と、少しリラックスした環境で声をかけ合うことから出てくる意見や話せることもあると思うので、良い効果なんじゃないかなと思います。


仲村:個人的には、デスクでは見られないリラックスした笑顔がGArDENでは見られることが、すごく嬉しいです。いつも真剣に仕事に向かっている仲間のホッとした表情を見ると、私も心が温まります。

GArDENでの取り組みを通して、お二人にはPR TIMESがどのように見えているんでしょう?

吉田:PR TIMESさんの素晴らしさって、チャレンジ意欲があって前向きな姿勢はあるけれど、ちゃんと余白の部分の大事さをわかっている人たちの集団であることじゃないかと思うんです。心穏やかに、でも本気になれる環境。そんな素敵な場所を作る要素のひとつが、GArDENですよね。


GArDENは、僕にとっては刺激的な学びの場でもあります。「僕は、このカウンターの中で、コーヒーを淹れることを通して何ができるのかな、何ができたかな」と、考えることが多いです。PR TIMESさんに伺うことで自分自身も成長させてもらっていますし、PR TIMESさんの素敵なカルチャーづくりのお役に立てるように、これからも頑張りたいですね。

仲村:吉田先生がおっしゃるように、私も、メリハリがあるところはPR TIMESの魅力のひとつだと思います。みんな穏やかだけれど、常に「一歩前へ!」と貪欲な姿勢も持っています。

私はティータイムの取り組みを通じて、前だけでなく“横の動き”を生んでいきたいんです。自分のことだけでなく、周囲のことにも首を突っ込んでいくような動きが生まれれば、会社の一体化に繋がると思うんです。私たちがやっていることは、直接会社の利益を生むことではありません。それでも、人が繋がりカルチャーが生まれることにより、会社は前進できるはずだと信じて、これからも挑戦していきたいですね。


取材・編集:萩原 愛梨 撮影:川島 彩水