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「toBのみ」でなく「toCにも」。年間1200アイテムを扱う雑貨メーカー・スパイス、PR戦略の転換で得られた成果

DATA:2018.09.13

  • 販売の主役は小売店。以前はtoCのPRは避け、toBの展示会で販促を図っていた
  • 方針を転換し、toCにも新アイテム情報を発信。小売店からの発注増につながった
  • ただの商品紹介ではダメ。「どう楽しくなるか」が伝わる内容のプレスリリースに

ガーデニング用品や家具・インテリア、アウトドアグッズに日用雑貨など、1年間に提供する総アイテム数は実に1200点以上。多種多様なアイテムの企画・製造・輸入・卸売を手掛ける雑貨メーカーのスパイスですが、これまでのビジネスのやり方は基本的に「BtoBのみ」。自社アイテムを販売してくれる店舗に商品情報を提供し、販売促進を図ってきました。

しかし、実際に商品を購入してくれるのは消費者です。消費者がスマホで簡単に商品情報をチェックできるようにもなり、「自社アイテムの情報を、もっと消費者へ直接届けるようにした方がいいのではないだろうか」と考えるようになりました。

そこで同社は、2013年10月からPR TIMESを利用したプレスリリース配信に注力するように。これまで延べ300本以上、2018年に入ってからは月間10本前後のプレスリリースをPR TIMES経由で配信してきました。

プレスリリース配信を始めてからは、自社アイテムがメディアで紹介される機会が増加。配信直後には自社運営のECサイト「SPICE Store」での販売量が増え、その翌日には取引先の小売店からまとまった発注が入るなど、プレスリリース配信の効果を確かに実感できるようになってきました。

PRの対象が基本的に「toB」のみだったところから、「toCにも」情報発信するようになったスパイス。情報発信のやり方を変えたことで、同社はどんな成果を手にしたのでしょうか。

「メーカーだから」前面に出るのを避け、PRは業界関係者向けのみ

プレスリリース配信などのPRに力を入れるようになったのは、数年前からだと伺いました。以前は、新アイテムの販売促進などはどのようにしていたのでしょうか。

[橋本 智瑛氏]当社の立ち位置はメーカーです。商品の販売はインテリアショップやアパレルショップ、園芸店、スポーツ用品店などの小売店にお願いしています。

 主役は小売店の皆様になりますので、当社のアイテムを取り扱ってくれる小売店に迷惑を掛けないように、以前は当社の名前を前面に出してPRすることを避けるようにしていました。

 ですので販促活動としては、雑貨・インテリアの展示会「東京インターナショナルギフトショー」や「国際 雑貨EXPO」などに出展したり、新アイテムを発表する自社展示会を半年に1度のペースで開催したりと、小売店などの業界関係者だけに向けた取り組みがほとんどでした。

 ですが、実際に商品を購入してくれるのは消費者です。「消費者の皆様にも、自社アイテムの魅力を伝える必要があるのではないだろうか」という声が社内であがるようになってきました。

[成瀬 真一氏]そのころPR施策の1つとして、直営店に関するPR記事をブロガーさんに書いてもらったことがありました。

 そのときに「直営店のPRのために、一緒にプレスリリースを配信してみませんか?」とPR TIMESを使ったプレスリリース配信をオプションとして提案いただきまして、お試しで1度配信してみたところ、かなり大きな反響があったのです。

 月額固定で何回でも配信できるプランもあると知り、「それならぜひ利用しようか」と、その後もPR TIMESを使ってプレスリリース配信を続けることにしました。

配信すれば受注増。LINE NEWSにも大きく露出し、「プレスリリースってすごい」

プレスリリースを配信するようになって、どんな変化がありましたか?

[成瀬氏]自社で「SPICE Store」というECサイトも運営しているのですが、配信したプレスリリースが多くのメディアで取り上げられると、当日から翌日にかけてSPICE Storeでの購入量が急に増えるようになりました。

 取引先の小売店の方も、メディアに掲載された記事を見てくれたのか、配信から1~2日経つと、以前よりもまとまった量で注文をしてくれるようになったと感じています。

[橋本氏]最近では、4月に「ネコを踏んでいるのではありません。ネコを履いてお散歩『キャットサンダル』」という新アイテムを紹介するプレスリリースを配信しました。

 いろんなニュースサイトに載せていただいた結果、SPICE Storeにいつもの8倍くらいのアクセスが集まり、かなりの数のキャットサンダルが売れました。

 それ以外にも効果を実感できたプレスリリースはたくさんあるのですが、特に印象的だったのは、2014年6月に「虫よけにはやっぱり蚊取り線香!インテリアとして見せられる蚊遣りが人気です!」というプレスリリースを配信したときのことでしょうか。

 いくつかのニュースサイトに記事として取り上げてもらえまして、「LINE NEWS」でも大きく露出しました。小売店からの発注量もすごく増え、「LINE NEWSで取り上げられていたね」と声を掛けてくれた取引先もありました。

[成瀬氏]PR TIMESを使い始めてまだ1年も経っていないタイミングで大きな反響があり、SPICE Storeにもどんどん注文が入ってきました。

 こんな経験をしたことはそれまでなかったので、「プレスリリースってすごい」と社員みんなで喜んでいました。

配信直後だけじゃない。雑誌などへの露出で長期的に認知度も向上

[橋本氏]プレスリリースを配信すると、その直後はもちろん、その後も長期的に販促の面で効果があると実感しています。

 というのも、プレスリリース配信後に雑誌などから「来月の特集で紹介したい」と打診いただけることが増えてきたのです。

 そうした雑誌などで露出することで、取り上げられたアイテムの認知度が上がり、さまざまな面で販売を押し上げる効果があると感じています。

 中でも、保冷保温ボトル「CORKCICLE」は雑誌などでのメディア露出が後押しになり、販売が順調に伸びてきています。

 これまでの展示会に出展するやり方では、1度にたくさんのアイテムを横並びで展示することしかできませんでした。それがプレスリリースを配信すれば、1つ1つのアイテムの魅力をしっかりと伝えられます。これまでと違った形で販売が伸びるアイテムも出てくるようになりました。

単純なアイテム紹介では埋もれてしまう。そのアイテムでどう楽しくなるかをPR

成功例として伺ったキャットサンダルの事例をはじめ、貴社のプレスリリースは「書き方が上手い」と感じるものばかりです。どんな方針で、プレスリリースを制作しているのでしょうか?

[奥地 一仁氏]「新アイテムを発売します」という単純なメッセージだけでは、山ほどある同じような新商品紹介のプレスリリースに埋もれてしまいます。

 そこで「この新アイテムを使うと、こんな楽しい経験ができますよ」というメッセージが伝わるように、プレスリリースを制作するように心掛けています。

 例えば、私はアウトドアが趣味です。アウトドア関連の新アイテムは自分で1度使ってみて、自身の経験を踏まえてプレスリリースに書く内容を考えるようにしています。

 ただ、本当に新しく発売するアイテムの点数が多いので、中には「このアイテムをプレスリリースで取り上げる」と決まってから初めて触るアイテムもあります。

 そんなケースでも、しっかりと対象のアイテムと向き合って「このアイテムを使うと、こんな楽しさがあるだろう」と自分なりに考え、商品企画・開発を担当した社員と話し合ってプレスリリースの中身を決めています。

添付画像は1枚に絞らなくてOK。「欲しい!」と思わせる写真を自力で撮影

[橋本氏]反響の大きかったプレスリリースとしては、クリスマス前に配信した「なりきりディスプレー!自分で童話のようなストーリーを作り主人公になりきれる、夢のある甘くてかわいい空間を演出してくれる装飾は『MILK DREAM シリーズ』!」というものもあります。

 大きな画像を使ってアイテムを見せたことが奏功したのか、メディアや読者の反応がすごく良かったです。それ以来、プレスリリースに掲載する画像の制作にも、力を入れるようにしています。

 新アイテムを売り出すとなると、最初に手に入る画像はデザインチームが撮影したものになります。ECサイトやカタログなどにリスト化して載せることを想定していますので、アイテム単体がはっきり見えるように撮られています。

 アイテムの全体像を伝えるには効果的な撮り方ではあるのですが、「実物はどのくらいの大きさか」「どんな使い方をすればいいのか」といった情報が伝わりにくいという欠点もあります。

[奥地氏]プレスリリースに掲載する画像は1枚に絞る必要はありません。見てもらいたい画像がたくさんあるのなら、できるだけ多くの点数をプレスリリースに添付すればいいんです。

 ですから、最初にデザインチームから届いた画像だけでなく、アイテムの大きさや使い方などが伝わる画像を私たちで撮影して、プレスリリースに掲載するようにしています。

 そうして伝えたいメッセージと一致する画像を手配できたとき、プレスリリースの効果が最も大きくなると思います。

小売店の売上に貢献するためにもPRが重要に。まずは情報発信を続けていきたい

今後、プレスリリースをどのように活用していく計画でしょうか。

[奥地氏]今は以前と違って、取り扱っているアイテムについて当社から情報発信していかないと、これまでの壁を越えられません。販売してくれる小売店の皆様の売上に貢献するためにも、PRが重要になってきました。

 自社アイテムについて1人でも多くの消費者に知ってもらうため、そして「楽しくなりそう」「欲しい」と感じてもらうため、まずはとにかく、情報発信し続けていこうと考えています。効率的に情報を発信していくため、今後もPR TIMESを最大限活用していくつもりです。