初めて作成したプレスリリースからテレビに露出。“宣伝しなかった”のに注目を集めたモバイルクーラー「ZERO HEAT」

Client
株式会社カワハラ技研
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  • 猛暑でも除染作業に励む人の力に。防護服の中を涼しくするZERO HEATを開発
  • PR TIMESの勉強会に参加。勉強したポイントを押さえてプレスリリースを作成
  • テレビ番組での露出に成功。家電量販店との取引、複数社との商談につながる

どんなに魅力的な商品を開発しても、知ってもらえるとは限らない、買ってもらえるとは限らない――。

身体に装着して過酷な暑さをやわらげるモバイルクーラー「ZERO HEAT(ゼロヒート)」。後日、テレビ番組でも取り上げられることになった製品ですが、開発したカワハラ技研の社員数は5人。広報、広告・宣伝、販売促進などの専門家は社内に不在。苦労の末にZERO HEATを開発したのになかなか販売につながらず、もどかしい日々を送っていたそうです。

それが「プレスリリースを配信してみたらどうか」とアドバイスを受けて実践してみたところ、前述のようにテレビ番組でも紹介され、家電量販店からも声が掛かり、いくつかの企業と商談が進むことになりました。

ただ、カワハラ技研が配信したそのプレスリリースの内容を見ると、ZERO HEATを紹介しているのはごく一部。自社の製品紹介よりも、職場における熱中症の問題などを伝える文章の方がずっと多くなっています。

カワハラ技研はなぜこのような形でプレスリリースを作成しようと考えたのでしょうか。また、プレスリリースを作成・配信するのは初めてだったという同社がどのように書き方を学んだのか、同社企画開発部の小野部長と福田次長に話を聞いてきました。

猛暑の夏、除染作業が少しでも楽になるように。ZERO HEATを開発した動機

――「ZERO HEAT(ゼロヒート)」を開発しようと思い立った経緯を教えてください。

[小野部長]カワハラ技研の前身は工務店でした。代表取締役を務める川原愉が先代の後を継いでから、「施工だけでなく、企画・設計・施工・管理までを一貫してやろう」とカワハラ技研を設立。しばらくは建築関連の事業を続けていたのですが、7年ほど前から「もっと世の中のためになることをやろう」と建築分野から離れて、光の吸収、蓄光、発光等の特性を持つ新素材「SOMA(ソーマ)」を活用した新製品を開発するようになりました。

 モバイルクーラー「ZERO HEAT」を世に送り出す前にも、放射能を出す有害廃棄物の収容容器「DECOPOD(デコポッド)」シリーズや、有害廃棄物の収容容器・保管方法・保管施設の3要素を集約した「DCⅦ立坑埋設システム」などを生み出してきました。

 このような有害廃棄物の処理に役立つ製品を扱っていたことから縁が生まれ、東日本大震災後に福島第一原子力発電所周辺の除染作業をしようと懸命に働く方々の声を聞く機会がありました。

 すると「猛暑の夏に、防護服を着て除染作業をしているととにかく暑い。汗をかいても防護服の外に出て行かないので、足首のあたりまで汗がたまる」と言うのです。

 彼らが少しでも働きやすくなるように、防護服の中に涼風を送れる装置を開発できないか。川原がどうにか装置を小型化できないかと工夫して開発し、最初の試作品から数えて3代目、ようやく実用的な製品として仕上がったのがZERO HEATになります。

どうやって売り込んでいくか。まずはプレスリリースを配信してみることに

――開発したZERO HEAT、どのように販売していこうと計画を立てたのでしょうか。

[小野部長]「人の役に立つ製品を開発できた」という自信はありましたが、いい製品であれば必ず買ってもらえるわけではありません。

 カワハラ技研の社員数は5人です。これまで広報や広告・宣伝、販売促進といった活動はほとんどしたことがありませんでした。ZERO HEATのような新ジャンルの製品をどのように売り込んでいけばいいのか、勝手が分からなかったのです。

 ですからZERO HEATが完成する目処が立っても、最初のうちは取引先の企業などに「こんな製品を開発しました」とご紹介するくらいしか、打つ手を思い付きません。「ZERO HEATを購入しよう」という企業は、なかなか現れてはくれませんでした。

[福田次長]そんなときに、ある取引先でPRや販売促進に詳しい方の紹介を受け、その方から「もっと戦略的に営業・販売促進を展開していかないと売れないよ」とアドバイスを頂きました。

 そして「まずはプレスリリースを配信してZERO HEATのことを広報してみなさい。プレスリリースを配信するならPR TIMESを使うといいよ」と勧められ、プレスリリースを作成・配信してみることにしました。

ZERO HEATの宣伝にはしたくない。熱中症関連の情報を積み重ねて伝える構成に

――そして2017年5月23日に配信したプレスリリース「[新商品] 冷風を携帯する。 モバイルクーラー『ZERO HEAT(ゼロヒート)』」は、非常に練り込まれた構成になっています。

 冒頭で端的にZERO HEATの紹介をしてから、厳しい暑さの中で働く人がいること、熱中症が社会問題になっていることなど、客観的な事実情報を積み重ねて伝えています。

[小野部長]ZERO HEATの宣伝だけのプレスリリースをするつもりはありませんでした。

 代表の川原が「もっと世の中のためになることを」という思いを持って開発した製品です。販売することよりも、まずはZERO HEATを必要とする人たちに知ってもらいたかったのです。

 また、「この製品は必要だ」とすんなり感じてもらうには、自分たちの製品を押し付けるべきではありません。事実情報を積み重ねていくことで、「そうだよね。それもそうだ。確かにこの製品は必要だ」という気持ちに自然となってもらうことが大切だと考えました。

[福田次長]プレスリリースを執筆するため、熱中症や労働問題などについて調べていく中で、次第に私自身が「ZERO HEATのことも知ってもらいたいが、職場における熱中症の問題が深刻化してきていることも知ってもらいたい」と強く感じるようになっていました。

[小野部長]福田自身がそのように感じていたからこそ、メディア関係者に注目してもらえるプレスリリースに仕上がったのだと思います。

 職場における熱中症の問題が分かるように、配信したプレスリリースの中に必要な情報をすべて含めるようにしましたので、「これだけ情報がまとめられていれば記事にしやすい」と思って取り上げてくださったメディアも多かったのではないでしょうか。

「社会性」「季節性」などの“メディアフック”をプレスリリースに盛り込む

――プレスリリースを作成するのは、今回が初めてだったそうですね。どのようにプレスリリースの書き方を勉強したのでしょうか。

[福田次長]PR TIMESに「利用を検討している」と問い合わせを入れてみたら、プレスリリースの書き方についてなどの勉強会を開催しているとお知らせをいただきました。

 早速、その勉強会に参加してみまして、プレスリリースを書く際のポイント、例えば、写真の扱い方、記事と製品説明のバランス等を学びました。

 また、勉強会の前に、PR TIMESを推薦いただいた方から「モバイル」「熱中症」「建設現場」「農業」「物流倉庫」などのキーワード10個をプレスリリースに入れるように助言いただきました。ZERO HEATの特性とZERO HEATの見込み顧客を想定した単語であると理解はしましたが、正直、記事の内容とどう関連付けるか悩みました。勉強会で学んだポイント 1.何を 2.どう 3.誰に 伝えるか、を大原則として、結果、いくつかの単語は除外しましたが、記事構成の骨子をまとめ、これが本リリース原稿の土台となりました。

 その後は、肉付け、文章をふくらませる手順としては、まずリリースしたい内容の裏付けができる資料集めをしました。最初は国内外問わず資料を収集し後に国内に絞り込みました。「国」政府の政策から、関係機関の論文、そして民間の現場での対応等、などです。

 また、製品に関してはキャッチコピーを先に決めました。

 勉強会で教わったことはどれもプレスリリース作成に役立ったのですが、その中でも特に「“メディアフック”になる情報を入れる」という点は意識しました。

 “メディアフック”とは、メディア関係者に注目してもらえるプレスリリースに必要な「逆説対立」「社会性」「季節性」「地域性」「話題性」「新規性」「意外性」などの9つの要素のこと。夏の暑さという「季節性」や、職場における熱中症の問題といった「社会性」など、“メディアフック”を意識しながらプレスリリースに盛り込む情報を考えました。

プレスリリースに記載する情報は、正確・最新のものに

――それ以外に、プレスリリース作成時に気を付けた点を教えてください。

[福田次長]プレスリリースを作成するとき、私が意識した点は3つあります。

 1つ目は、先ほど小野が申し上げたように、ZERO HEATを宣伝するだけのプレスリリースにはしないこと。代表である川原の「世の中のために」という思いを伝えられるように、職場における熱中症の問題について十二分に取り上げた上で、ZERO HEATを紹介する構成にしました。

 2つ目に、記載する情報が正確であること。政府や関連機関のホームページなどをしっかりと調べ、正確な情報を集めるように努めました。

 そして3つ目に、最新の情報を記載すること。5月23日配信のプレスリリースの中で熱中症による救急搬送速報値を紹介したのですが、配信の直前まで速報値が更新されるのを待って、5月1~14日の最新データを載せるようにしました。

テレビなどでの露出から、家電量販店での取り扱いや複数社との商談につながった

――プレスリリース配信後、どのような反響がありましたか?

[小野部長]さまざまなWebメディアにニュース記事として取り上げられ、テレビ東京系列の「ゆうがたサテライト」、サンテレビの「週感!PV」などの番組で放映してもらうことができました。

 PR TIMESでプレスリリースを配信したことをきっかけに、これまでに30件以上の問い合わせがありました。先ほど挙げたテレビ局の取材につながったのに加えて、業界誌などからも取材が入りました。

 そうしたメディアでの露出があったので、いくつかの企業から問い合わせがありまして、現在、商談を進めているところです。ある大手家電量販店からは「ポイントと引き換えられる商品として、ZERO HEATを取り扱いたい」というお話をいただきました。ZERO HEATを知った個人の方から「どこで買えますか」とご質問いただくこともあります。

知ってもらえれば販売に結び付く。認知を広めることが今後も課題に

――これからZERO HEATをどのように広めていきたいか、今後の計画を教えてください。

[小野部長]1本目のプレスリリースを配信したことで、ZERO HEATをある程度は認知いただけるようになりました。

 けれど、もっと広くZERO HEATのことを認知いただくことが必要だと感じています。そのためには、切り口を変えて何度もプレスリリースを配信していくべきなのか、別の方向性を考えなくてはならないのか、これから試行錯誤していくことになるのでしょう。

 それでも、必要としていただける方にZERO HEATのことを知っていただければ、購入につながるという手応えはあります。

 実際、ZERO HEATのことを知ったある企業の担当者から「特殊な製品を扱っているので、高温多湿状態になっているクリーンルームで大事な技術者たちが働いている。少しでも彼らが働きやすいように、ZERO HEATのような製品の導入を検討したい」とお声掛けいただいたことがあります。私たちが想定していなかった用途ですが、広く情報を発信することで、新しいニーズを見つけられるのだとも感じました。

 ですから、とにかくZERO HEAT のことを広めて、1度、手に取って試していただきたい。そのために、ZERO HEATの認知を広めていきたいと考えております。

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