ビジネスパーソンに聞く仕事術
Facebookを活用したランチマッチングサービス「ソーシャルランチ」。サービス開始から7カ月という早さで会員数が5万人を突破した背景には、サービスコンセプトに共感してくれたユーザーの口コミのほかに、巧みなPR展開も大きな役割を果たしています。
サービス認知を上げてユーザーを集めることが最重要。資本があれば最初から広告に頼ることもできますが、小さく始めた会社ですから何よりもPRが大切だと感じています。
社長も私も、以前はGoogleで広告関連の部署にいました。広告とPRの違いを肌で感じていましたから、仮に資本があったとしても費用対効果の面から考えて、PRで認知を広めていくことの重要性を理解しているつもりです。
Web系のベンチャー企業にとっては、スタート時からどれだけ多くの話題を作り出していけるかが勝負だと考えています。質も大事ですがとにかく数を出して、われわれが仕掛け続けていることを外に向けて発信し続けることが重要だと。
そのために、われわれが獲得したいユーザー層が興味を持ってくれそうな企画を常に考えています。学生ユーザーを取り込もうと「ソーシャルランチ大学版」「就活ランチ!」といった企画を立てましたし、女性ユーザーを増やしたいと考えてアフタヌーンティーの新コンセプト店「シェアードテラス」との共同企画を進めました。
始めから取り込みたい層を想定して企画を作り、形が整ったところでプレスリリースとして情報を発信する。そんな動きを意識して繰り返すようにしています。
同様のサービスは一通り比較してみました。チェックしたのは、価格と外からの見え方、配信媒体をこちらで選べるかどうか、といった点です。
サイトのデザインも意識しました。PRの立ち位置が昔と今とで変わってきているとわれわれは考えています。プレスリリース自体が記事であって、自分たちですべて自由に書ける媒体だと。
結果的に、プレスリリースの配信先になる媒体を、こちらで選べるところは良かったですね。例えば、日刊工業新聞にソーシャルランチを取り上げてもらったことがあるのですが、こちらは「きっと取り上げてくれるだろう」と期待して配信したわけではありませんでした。たまたま配信先として選んだだけだったのですが、プレスリリースを受け取った日刊工業新聞が興味を持って取り上げてくれたのです。そうした可能性を閉じないように、自分たちで送り先を選べることは大事だなとあらためて感じています。
「会員数が何万人を突破」といった内容の時は、常に注目を浴びています。iPhoneアプリのリリースといった内容も注目を集めやすいようです。
1人でランチを食べる「ぼっち飯」が45%に上ると伝えたアンケート調査結果には、想定以上の効果がありました。mixiニュースのトップ記事になりまして、それを見ていただいたのか、関西のローカルテレビ番組でも紹介されました。
PR TIMESのプレスリリースページに、外部のFacebookやTwitterなどからユーザーを誘導し、PR TIMES内のアクセスランキングの1位を狙うことです。大手企業はそれほど意識しないでしょうが、われわれにとっては大手企業と名前が並ぶことに意義があります。「見たことない会社だな。何だろう」と意識されるように狙って仕掛けています。
サービスの認知度によって、プレスリリースの書き方を変えるようにもしています。サービスが立ち上がって間もないころは、ソーシャルランチというサービスがどんなものかという説明をしっかり書くように心掛けていました。例えば、「Facebook活用で社外の人と昼食『ソーシャルランチ』が会員1万人突破!」です。サービスについてまったく知られていない前提で、タイトルを見るだけでサービス内容を分かってもらえるように書きました。最近は認知がある程度広まってきましたから、タイトルにはサービス説明を入れず、本文中で簡潔に説明するようにしています。
プレスリリースの中身になる企画の立て方も、変わってきました。これまでは主に、Web関連の業界・技術動向を伝えてくれるWebメディア、いわゆるテックメディアで取り上げていただきました。そのおかげでWeb関連の企業で働く方が会員になってくれています。ですが、われわれはより多くの、より幅広い方にご利用頂きたいと考えています。Web業界以外の方にも興味を持ってもらえるよう、テックメディア以外のテレビ・ラジオ・雑誌などにも取り上げられるような見せ方ができるように意識しています。
これまで配信してきたのと変わらない頻度で、継続的にプレスリリースを打ち続けていきたいです。
話題をきっちりと提供し続けることが大事だと考えています。自分がユーザーになったつもりで考えると、「あのサービスは最近、ニュースを見なくなったな」と思われてしまうと、サービスが廃れていくきっかけになりかねません。常に動いていることを外に向けて伝えていき、ユーザーに動き続けているサービスだと感じてもらえるように、今後もプレスリリースを送る取り組みに注力していきたいです。