OUR WORKS 06

コネクション不足だったWebメディアへのリーチを強化。Web PRの特性を活かしたイベント当日の即日配信で露出増を狙う

DATA:2014.02.03

富士急行株式会社の営業推進室は、富士急ハイランドやさがみ湖リゾートなど、グループ企業を含めた広報・宣伝活動を一手に取り仕切る部署。取材に応じてくれた金子泰樹、塚田真悟はじめ、広報・宣伝の経験を積んだ社員がそろっています。

そんな富士急行にも、広報活動に関して課題に感じているところがあったそうです。「郵送で配送したリリースは読まれているのか」「Webメディアとのコネクションが弱いのを強化できないか」といった悩みがあったのだとか。

メディアリレーションにおいて、どのような課題を抱えていたのですか?

プレスリリースを送る時には、数百件ほどの媒体リストを使って郵送する、というやり方を続けていました。ですが、PR関係の書籍を読むと、「郵送は捨てられる。FAXは捨てられる。メールは開かれない」と書かれていて、以前からリリースを発送する手段について、どれが良いのかと迷っていました。

もう1つの課題として、「Webを強化しよう」とWeb戦略チームを社内で発足させていました。ですがWebに注力するのなら、サイトのデザインなどを改善するだけでは不十分で、誘導方法を考えることも必要。バナーなどで広告露出するほどの予算を掛けられない中、ネタを作ってリリースを配信することで、サイトに誘導できないかと考えていました。

既に相当数の配信リストをお持ちだったということですが、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」を導入されました。どんな特長に惹かれたのでしょうか。

実は配信リストを持ってはいても、Webメディアのリストは少なかったんです。メンテナンスも不十分だったので、Webメディアに記事にしてもらうことで自社サイトへの誘導を増やすには、既存のリストでは弱いと感じていました。

あと、PR TIMESはリリース配信に利用できるだけではなく、PR TIMESのサイトや提携サイトにリリースが掲載されます。当社がリリースする類のネタは「このリリース、記事にしてください」とお願いすることも必要かもしれませんが、逆に記者の方が「これ面白いな」と思って記事にしてくれる気持ちが大事なのだとも思っています。その点、掲載されたリリースの中から記者がネタを探してくれるPR TIMESのやり方は、その考え方に合いそうだなと。

FAXとWeb配信で、どのような違いを感じますか?

Webは即効性がありますね。新しいローラーコースター「高飛車」のオープニングイベントでそう感じました。アイドルグループのSKE48をブッキングしていたのですが、ギリギリまで予定が確定せず、リリースできるタイミングが数日前になってしまったのです。以前なら1週間後のイベントを記者に伝えようと思っても、郵送していたら間に合いません。FAXしたり、地元メディアに直接投函したりするくらいしかできませんでした。

それがPR TIMES導入後は、早ければその日のうちにリリースを出して、Webメディアなどで記事として取り上げていただけるようになりました。即効性の面で手応えを感じています。

メディアと横並びで情報発信できるようになろう、という意識も高まっているそうですね。

最近では、そんなWeb PRの特性を活かして、イベント直後にその内容を即日配信しようとチャレンジしています。例えば富士吉田駅の名前を富士山駅に改名した時ですとか、「高飛車」の最大落下角度121度がギネス世界記録に認定された時などに即日配信を行いました。

今まではイベント前にリリース配信して「通信社や新聞社、テレビ局の記者が来てくれて、記事にしてくれればラッキー」という意識でした。それがPR TIMESを使い始めてからは、「われわれもメディアと横並びで情報発信して、そこからWebへ広げられるようにしよう」と考えるようになりまして。富士山駅への改名を発表した際には、写真のほかに動画も撮影してリリース配信しています。

即日のニュースは、Webメディアに取り上げられやすい傾向にあります。また当社の場合、イベントを開くのは都内とは限りません。富士急ハイランドなど、離れた場所で開催することが多いのです。距離の問題もありますので、メディアに来てもらえなくても、われわれ自身で情報発信できるようになろうとしているのです。

Webへの集客という点で、効果はいかがでしょうか?

リリースや記事経由でのアクセス数は順調に伸びています。一番効果があったのはSEOかもしれません。「高飛車」のような新しいアトラクションの商品名も、すぐに上位表示されるようになりました。世間に名称が浸透する以前から上位に出るので、非常に大きな効果があります。

広報活動をさらに強化していくため、今後はどんな取り組みを進めていく予定ですか?

リリースを送ること自体を目的にしてはいけないと常に考えています。どういうネタで、どういう書き方をすればメディアが取り上げてくれるのか。場合によっては施設づくりなどの企画・開発部分からかかわることも、PRには必要です。

PR TIMESを利用し始めたことで、ブログを書いている人などにも直接プレスリリースを届けられるようになってきました。「メディアが取り上げてくれる」という視点に加えて、「一般の人が反応してくれる」ためにはどうすれば良いのかという視点も重要になってきました。リリースにどんな画像を添えるのか、リリースから自社サイトのどのページに誘導するのか、といったところまで配慮することが欠かせなくなってきています。

さらに言えば、Facebookで富士急ハイランドのページに「いいね!」を押してくれた方が10万人を超えました。それだけの人に直接情報を届けられるわけですので、これからはプレス向けのリリースを作るのではなく、一般向けにニュースリリースを発信するんだという意識がより重要になると思っています。