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地方銀行として広報・PR活用方法を支援。武蔵野銀行・千葉銀行が共催した「広報・PR実践セミナー」

  • 藤坂 浩司(株式会社ぶぎん地域経済研究所 調査事業部 次長兼主任研究員)
  • 大林 健太郎(千葉テレビ放送株式会社 プロデューサー)
  • 山口 拓己(株式会社PR TIMES 代表取締役社長)

DATA:2019.03.08

企業・地域の価値を高めるため、広報・PRに興味を持つ中小企業などの経営者・広報担当者が増えてきました。PR TIMESでは、そうした方々のために、全国各地で広報・PRの活用方法を勉強するセミナーの開催をお手伝いしています。

2018年12月10日には、千葉銀行と武蔵野銀行が「経営者・広報担当のための広報・PR実践セミナー」を共催。PR TIMESからも代表の山口拓己が登壇し、プレスリリースの役割や可能性について講演しました。

同セミナーではさらに、ぶぎん地域経済研究所の藤坂浩司次長兼主任研究員から「広報・PR活動の重要性」、千葉テレビ放送の大林健太郎プロデューサーから「メディアが取上げたいPRネタ」という切り口で、効果的な広報・PR活動について講演がありました。藤坂氏と大林氏、そして山口の講演内容について、本稿にて再録します。

広報・PRを理解する。メディア掲載させるのに必要なこと。「広報」と「広告」の違いは?

ぶぎん地域経済研究所の藤坂と申します。以前は日刊工業新聞に26年間在籍し、主に記者として、あるいは記者を統括する立場として働いてきました。そうした前職の経験から、広報・PR活動の重要性について話していきます。

藤坂 浩司(株式会社ぶぎん地域経済研究所)

そもそもPRとは、“Public Relations”の略称で、「広報」を意味します。よく「『広報』と『広告』を区別できない」という方がいます。「広報」と「広告」は似て非なるものですから、両者の違いをきちんと理解してPRに取り組む必要があります。

「広告」の場合、広告主がお金を払って広告掲載スペースを買い、そこに自分たちの伝えたい主張を自由に掲載できます。一方、「広報」の場合は、掲載の決定権はメディアにあります。自分たちの主張をメディアに伝えても、実際に掲載されるかどうかは分かりません。ただ、基本的に費用はかかりません。こういった点が「広報」と「広告」の基本的な違いです。

それ以外の違いとして、一般的には、広告費を支払って載せた広告の主張より、メディアが選んで載せた広報の主張の方が「客観的なデータに基づいている」「付加価値が高い」などと見られがちです。実際は必ずしもそうとは限りませんが、たくさんのニュースリリースや取材対象の中から選ばれて記事になったということで、価値があると捉えられるのです。

PRする目的は何か。目的によってPRの戦略は変わる

PR活動は、すぐに売上増などの成果につながるとは限りません。それでも、事業などを継続していく上で、大切な活動の1つです。それも広告とは違って、広報なら少ないお金で最大限の効果を発揮できる可能性があります。そのことをよく理解した上でPRすると、非常に効果があると考えています。

PR活動に取り組む上で重要となるのが、何を目的にするかということです。PR活動は基本的に、企業や自治体が自分たちの活動を広く世に知らしめるためのものです。その立場によって目的は多岐に渡ります。例えば、新しい商品・サービスの告知、会社の知名度やブランド力の向上、株価対策などがあります。目的に応じて、誰に対してPRをするのか、ニュースリリースをどう書くのか、戦略の立て方も変わります。目的がきっちりしていないと、せっかくPRしてもメディアに取り上げられないことが多々あります。

自社でやるか、PR会社に委託するか

いざPRに取り組み始めると、ニュースリリースを書いて送ることが、基本的な施策の1つになります。ニュースリリースを誰が書くのか、まずはそんな問題に直面すると思います。誰がPRを担うのか、自社の人間が行う場合と、PR会社に委託する場合、大きく分けて2つの選択肢があります。

自社でやる場合、中堅・小規模の会社ですと、広報専門の部署・担当者を置くのは難しいかもしれません。総務部などが兼務して、ニュースリリースを作成して自社ホームページに掲載するところまで担当しなければならないところもあると思います。専任の担当者を置くことが難しかったとしても、まず誰が担当するのかをきちんと決めて、その方が責任を持ってやっていくことが大切です。

もう1つのPR会社に委託する場合、成果はきちんと得られると思います。ですがお金がかかりますので、経営者や担当者が、コストと成果の見合いから委託を続けるべきか判断する必要があります。

PR成果を判断する効果測定手法は2種類のやり方がある

PRは、ニュースリリースを書いて終わりではありません。いかにしてメディアに取り上げてもらうか。取り上げてもらうことで、どのような成果を期待するのか。そこまで考えておく必要があります。


PRの成果を計測する方法として、主に2種類のやり方があります。1つは、出したリリースがいくつのメディアに取り上げられたか件数を測り、掲載メディアが新聞や雑誌なら紙面の大きさ、テレビなら放送時間を調べて、「同じだけメディア露出するのに、広告費がいくら必要だったか」と換算するやり方です。

ただ中小企業の場合、掲載メディアを調べ上げて露出量を広告費に換算していくのは大変だと思います。そこで2つ目のやり方として、メディアに取り上げられた結果、自社にどれくらいの反響があったのか、問い合わせの件数、相手、内容をチェックする方法があります。リリースを公開してメディアに取り上げられた後、電話、FAX、メールなどで届いた問い合わせの件数を計測するわけです。

PR活動を通じて得られる3つのメリットとは。“会社の履歴になる”という観点

PRに取り組むメリットとして、重要なものを3つ挙げます。特に大切なのは、「会社の歴史を正確に記録する活動の一環にもなる」ことです。社歴の長い会社が50年史や70年史といった社史を作る際、「過去の履歴・実績等が整理されていなくて、会社の歴史が分からない」ことが多くあります。会社のイベントを開くときや新しいビジネスを展開するときなど、リリースを作ってホームページに載せておけば、たとえすぐにメディアに取り上げられなくても、会社の履歴として残ります。後から情報を整理するのに役立ちますから、このような習慣をつけることが大切です。

 2つ目のメリットは、「自社や自社のサービス、商品などが第三者からどのように見られているのかを客観的にチェック、判断できる」ことです。ニュースリリースをホームページに載せたり、メディアに送ったりすることで、メディアに記事が掲載されることがあるかもしれません。それがきっかけで、別のメディアからも取材が来るかもしれません。そうしたメディアの反応を見て、自社や自社の商品・サービスに対する評価・関心を判断できるようになります。

 3つ目のメリットは、「社会に対する情報発信を通じて、経営活動の意義や存在感を再確認することで、さらなる高みを目指すことができる」ことです。2つ目と関連しますが、自分たちの活動を再チェックする手段としてPRを活用できます。

メディア掲載されることのメリットをどう捉えるか

PRに取り組んで、メディアに掲載されるとどのようなメリットがあるのでしょうか。まず不特定多数の人や企業に対して、効果的に自社の宣伝ができます。不特定多数の人が記事やテレビの放送を見たり聞いたりすることで、想定よりもはるかに大きな宣伝効果があるかもしれません。


また、掲載された情報を元に、第2、第3のメディア掲載や情報の拡散などが期待できます。メディア関係者は365日、常に「何か新しい情報はないか?」と探し求めています。どのメディアも競合メディアを見ていますから、あるメディアに記事が載ると、「こういう面白そうな会社があったんだ」と別メディアの関係者の目にも触れます。そうして、タイミングを少しずらして次のメディアが取材に来ることが非常によくあります。

また、メディア掲載からしばらくして、最初に取り上げてくれたメディアから「また何か新しいネタはないですか?」と連絡が来ることもあります。そう考えると、1回でもPR活動を通じてメディアに掲載されると、その効果は大変大きなものになります。

ニュースリリースの内容、届けるメディア選定の組み合わせが重要

続いて、PR活動の際に、どのように情報を発信していくべきか、説明していきます。企業や自治体が情報発信するやり方はいろいろあります。パンフレット、チラシ、ポスター、カタログといった紙媒体に加えて、SNSのような電子媒体もあります。PR活動の目的やターゲットなどに応じて、利用するツールを選ぶのが良いでしょう。

そして現代では、ニュースリリースがPR活動をする上で柱の1つになっています。ニュースリリースの作り方としては、これまでに配信された膨大な数のニュースリリースを調べて、模倣することから始めるのが良いでしょう。A4サイズの用紙1~2枚程度で、起承転結を意識してコンパクトにまとめましょう。

そして、自分たちが訴求したいターゲットを踏まえてメディアを選び、そこにリリースを送ります。送った後、編集部に電話して「載せてほしい」とお願いするといった活動を続けていけば、成果が出てくる確率は高くなると思います。

ニュースリリースを作ること自体が目的ではなく、作ったものをメディア掲載させることが目的です。「載せてもらう」のではなく「載せさせる」という意気込みで取り組みましょう。「自分たちがPRしたいものは、どのメディアにマッチしているのか」と事前に調べ、載せたいメディアが見つかったらそこに働き掛ける活動を繰り返していくのです。メディア掲載の実績を増やしていくには、基本的に、ニュースリリースの内容とそれを届けるメディアの組み合わせが大事です。ここを間違えると、なかなかメディア掲載させることはできません。

ニュースリリースはたくさんある。何か1つでも目新しい内容を

 世の中にはたくさんのニュースリリースがあって、限られた紙面にどのリリースを載せるかはメディアが判断します。そのため、ありふれた内容やつまらない内容、二番煎じのリリースをメディアは載せません。斬新さや新規性、独自性、話題性、時代性、地域性、社会性などが必要です。すべて当てはまらなくても何か1つ、メディアにとって目新しい内容があることが大切です。


私が新聞社にいたころも、ニュースリリースは毎日何十件と送られてきました。それらを1つ1つしっかり見ることは物理的に難しいので、パパッと流し見て、目に止まったリリースだけを載せていました。たくさんのニュースリリースがある中で、どうやって記者の目に触れるか、工夫が必要になります。

ただ、1度でもメディアに取り上げてもらえれば、そこから突破口が開けます。メディア関係者とつながりが生まれて信頼関係ができると、その後のPR活動は比較的楽になります。その突破口が開けるまで、努力を惜しまないことが重要です。

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