ビジネスパーソンに聞く仕事術
OUR WORKS 93PR TIMES
DATA:2019.01.24
誰かを応援するだけでいいのだろうか。自分も何かに挑戦したい――。
Webメディアで働いていた地曵美乃里さんは、次々と登場する新たな商品・サービスの情報に触れるたび、そんな想いを募らせるようになりました。
美味しくて健康的なおやつを、一人ひとりに合わせて届けるパーソナライズ型おやつ定期便「snaq.me」。自社メディアで紹介してsnaq.meを知ったとき、「応援するだけでなく、自分もこの事業に携わりたい」と心動かされたそうです。
過去に働き過ぎが原因で体調を崩し、1年ほど休養せざるを得なかったこともある地曵さん。健康を支える“食”に対して人一倍意識が高くなっていた彼女にとって、「健康的」でありながら楽しく続けられる「美味しいおやつ」を提供する仕事は、とても魅力的なものに映りました。
当時のスナックミーは創業してまだ1年も経っておらず、社員は4人だけ。転職して5人目の社員としてマーケティング・PRを担当することになった地曵さんでしたが、前任者は不在でほぼゼロから業務を立ち上げていくことになります。
入社して1年、何度かメディアに向けて情報発信はしましたが、なかなか目立った成果を残せずにいました。「マーケティング・PRのやり方を変えなくては」と危機感を持った地曵さんは、PR TIMESが開催した勉強会に参加。スタートアップ企業なりの戦い方を学び、PR TIMESを使ってプレスリリースを配信するように。すると、テレビ番組などでもsnaq.meが取り上げられるようになり、うれしい悲鳴が出るほど大量の注文が集まることもありました。
地曵さんが試行錯誤の上で実践してきたスナックミー流のPRと、それを確立してきたこれまでのプロセスを伺いました。
「スタートアップ企業なりの戦い方」でPRに取り組むようになってから、成果が出始めるようになったと伺いました。以前から、どんなところを変えたのでしょうか?
以前は、他の業務との兼務で、プレスリリースを出すことに、とにかくいっぱいいっぱいになっていました。そのやり方では十分な成果を残せずにいましたので、PR TIMESの勉強会に参加して、「プレスリリースのタイトルはこう書いた方がいい」「配信する時間はいつがいい」など、配信するプレスリリースの細部にまでこだわるべきだということを学びました。
それからは新聞、テレビ、雑誌、Webといったターゲットにするメディアによって、タイトルを変えるようにしています。タイトルを考えるときは、単語の並べ方を何パターンか出してみて、「これが1番キャッチーなんじゃないかな?」と吟味して決めるようにしています。
プレスリリースに載せる写真にも力を入れています。一覧ページなどに表示されるアイキャッチ画像は、とにかく映える写真を用意します。素敵なアイキャッチ画像を載せている他社のプレスリリースを参考にして、お菓子や小道具の配置などをいろいろ変えて構図を工夫することもあります。
スナックミーのプレスリリースは、ただ商品を紹介するだけでなく、商品を開発した背景・ストーリーまでしっかり冒頭で紹介していますよね。
PRの目的は、商品を生活者の方々に、興味を持っていただき、実際に行動に移していただくことです。メディアの先にいる生活者の方々に、是非利用してみたい!と思わせるような心揺さぶるメッセージを届けたいと考えています。
「こんな商品を出しました」というメッセージだけでは、「へぇ」で終わってしまうと思うんです。「こんな問題があるから、こんな想いを込めてこんな商品を出しました」と伝えることで、生活者の心を揺さぶることができると信じて書いています。
また、メディアの心も、プレスリリースを通じて揺さぶる必要があります。お菓子のプレスリリースをただ送るだけでは、「なんだ、お菓子の新商品が出ただけか」と軽く扱われてしまうかもしれません。「このプレスリリースは取り上げる価値がある」と思ってもらえるように、商品開発に込めた想いや、独自性のある情報を分かりやすく伝えるように心掛けています。
例えば、snaq.meは600種類以上のおやつの中から、独自開発したアルゴリズムによってお客様一人ひとりの味覚・嗜好に合ったおやつを8種類選んでお届けしています。そうしたテクノロジーに関する情報など、メディアにおもしろいと思ってもらえるような情報を、前面に打ち出すようにしています。
お菓子メーカーの場合、プレスリリースを送ろうにも、どうしても「新商品のお知らせ」ばかりになってしまうと思います。ところが貴社は、新商品情報はもちろん、「運動習慣とおやつの関係に関する調査」などのアンケート調査結果を発表したり、「『太陽のマルシェ』『青山ファーマーズマーケット』に期間限定出店」などの出店情報を出したり、多様なプレスリリースを出していますよね。
アンケート調査のプレスリリースは、メディアの方々とコミュニケーションを取り、「こんなことを知りたい」とご相談いただいて「じゃあ、私たちが調べます」という流れで調査を始めることが多いです。
マルシェなどに出店したのも、「ここに出店してほしい」「普段はネット通販だけで取り扱っている商品を実店舗で買いたい」といったお客様の声に応えたからです。
そうした声に応えた取り組みを発表するためにプレスリリースを書いていったら、新商品情報以外のプレスリリースが自然と増えていきました。
なかなか企業にまで有益な「お客様の声」が届かないこともあります。サービスの開発・改善につながるようなお客様の声が、貴社にしっかり届いているのには何か理由があるのでしょうか?
当社は、お客様と密接に結び付き、お客様の声をすぐに反映し、お客様と一緒にサービスを改善して、より良いものを作っていこうとしています。
例えば、お客様と交流するイベントを定期的に開催しています。カスタマーサポートに使っているのもLINEです。お客様がご意見を仰っていただきやすいように、LINEを使っています。
また、もともとsnaq.meは、届いたおやつBOXの内容についてお客様に評価を入力していただくシステムになっています。その評価を踏まえて次回以降のBOXに入れるおやつを選ぶようにアルゴリズムが組んでありますので、評価を伝えれば伝えるほど、自分好みのおやつが届くようになるわけです。それ以外にも、マルシェへの出店など、お客様の声にはできるだけ応えてきました。
snaq.meは、いろいろな意見を発信してもらいやすいように環境を整えて、声を届ければ改善されるという実績を積み上げてきましたから、「声をあげればより良いサービスになって、自分に還元されると分かっているんです」と言ってくださるお客様もいらっしゃいました。
そのような工夫をするようになったことで、snaq.meなどの商品・サービスもメディア露出が増えていったんですね。
最初のプレスリリース配信後、すぐにいくつかの雑誌とWebメディアに記事を掲載していただきました。そうして掲載された記事の1つがあるテレビ局担当者の目にとまり、テレビ取材が決まりました。
テレビ番組の放送後には、当時のスナックミーには対応しきれないほどたくさんの申し込みが入り、うれしい悲鳴でしたね。
メディア露出が増えたことで、売上にも貢献できるようになりました。PRのやり方を変えてから1年ほど経ちましたが、以前は毎月数%程度だった売上の伸びが、毎月10%前後で成長するようになりました。マーケティング関連の取り組みやサービス改善など、PR以外にさまざまな要因が影響しているものの、PRも一因になっていることは間違いありません。
またメディア露出で売上が伸びただけでなく、社内のモチベーションも上がりました。当社はすごく小さな会社なので、社員のご家族の中には不安を感じる方もいます。そんなご家族であっても、メディアを通じてスナックミーの名前を聞いて、「自分の家族が働く会社は、こんなに注目される商品・サービスを提供しているんだな」と安心されたこともありました。
snaq.meなどを既に購入されているお客様からも、「このメディアで紹介されていて、うれしかったです」といった声を頂くことがありました。
その効果を定量化するのは非常に難しいことではありますが、PRによって社員の家族・知人やお客様に、安心感を与えることもできたと思います。
スナックミーに転職して2年半、自分が「挑戦する」側で働いてみてどうでしたか?
山あり谷ありの日々で、とことん落ち込むときもありました。それでもスタートアップ企業で働いていると、私のがんばりが業績に対して如実に影響します。特にテレビや新聞で取り上げられて、申し込みが急増したときは、うれしかったです。
20代でこれだけ責任のある仕事を任されていることは、すごくありがたいことだなと思いますし、もっとがんばっていこうとも思います。
以前に働いていた会社では営業やマーケティングライターなどの仕事も担当してきましたけど、今まで経験してきた仕事の中ではPRが1番楽しいと思っています。
また、他社のPR担当者と助け合い、切磋琢磨できるところも、PRならではの経験だと思います。3~4社で共同企画を立ててメディアに働き掛けたこともあります。「どうしたらこのメディアの役に立てるか」「生活者に情報を届けるにはどうしたらいいか」といったことを一緒に考えるのは励みや刺激になっています。
今の仕事は、妊娠・出産といったライフスタイルの変化があっても続けられるところも良いところです。どんなライフスタイルになっても続けていけそうですから、今後もこの仕事を深めていきたいです。