CULTURE 02

仕事で受け継ぐ「行動者」の姿勢。挑戦から学んだ、恐れず決断する力とは

  • 杉山 博美(株式会社PR TIMES 経営企画本部)
  • 橋本 有翔(株式会社PR TIMES マーケティング部 / アカウントプランナー)

DATA:2018.11.22

はじめからチャレンジングな仕事を楽しめる人は、よっぽど熱意と勇気がある人だ。多くの人は失敗や後悔などの経験を繰り返して、少しずつ行動の習慣が染みついていく。

経営企画本部に所属し、社内外の広報、採用人事などの業務を担当する杉山博美(すぎやま ひろみ)は、2015年に入社。これまでにオフィス移転プロジェクトや採用人事などの多岐にわたる経験を通して、行動者としての意識を積み重ねてきた。

今回、杉山と対談するのは、日本全国のお祭りをPR支援する「祭りプロジェクト」や、地方銀行との業務提携を手がけるマーケティング本部の橋本有翔(はしもと ゆうしょう)。同年代の杉山の行動に刺激を受けたという橋本は、いくつかのプロジェクトに関わるなかで、責任の果たし方や、行動者としての姿勢を得た。

それぞれの部署の中核として活躍する二人は、どのような経験をし、成長したのだろうか? そして、どのような未来を見据えているのだろうか?

杉山 博美

杉山 博美

株式会社PR TIMES 経営企画本部

楽天の営業経験を経て、2015年2月にPR TIMESに入社。マーケティング本部でのセールス&マーケティングに所属後、2017年6月に新設された経営企画本部に異動。現在は、採用人事、広報を担当している。オフィス移転のプロジェクトメンバーとして企画・実行を担当するなど、多方面で積極的に活躍。橋本とは、「祭りプロジェクト」で業務をサポートするほか、プロジェクト発表のリリース配信時に広報として関わっている。

橋本 有翔

橋本 有翔

株式会社PR TIMES マーケティング部 / アカウントプランナー

大学卒業後に地元・熊本に戻り、地元テレビ局に入社。営業部に所属し、CMや番組協賛などのセールスを経験。2017年4月にPR TIMESに入社し、セールス&マーケティングを務める。幅広い業種のクライアントに対して、プレスリリース配信サービスをはじめとしたデジタルコミュニケーションサービスを提案するほか、地方銀行との業務提携や、クライアント課題に合わせたマーケティングPRの提案など、活躍のフィールドを徐々に広げている。

会社のビッグプロジェクトでも、若手社員に裁量を持たせてくれる

まず、お二人がPR TIMESに入社した経緯を教えてください。

杉山:多くの会社では、売上のために仕事をするという考えになりやすいと思います。しかし、PR TIMESは、「クライアントであるお客さまや、その先にいる消費者の幸せをいちばんに考えて行動する。その結果として会社も成長する」という考えを、代表から現場までの誰もが持っている会社です。

私自身も、会社の売上のために仕事をするのではなくて、お客さまの思いを多くの人に届けるために仕事をしたいと考えていたため、PR TIMESに入社しました。

杉山博美(株式会社PR TIMES 経営企画本部)

橋本:ぼくも、お客さまの利益に寄与できるサービスを提供していると心の底から思えることが、結果としてPR TIMESの成長につながるという考え方に惹かれましたね。広告やパブリック・リレーションズにも興味はあったのですが、じつは入社当時、プレスリリースがどんな役割を果たすのか、なんとなくしか知らなかった(笑)。

橋本有翔(株式会社PR TIMES マーケティング部)

杉山:そうだったの? 橋本さんは、私が採用担当になって初めて入社した社員。プレスリリースの役割については知らなくても、社会人としての経験が豊富で、愛嬌や誠実さも感じられた。面談をしていた頃から、いずれきっと活躍する社員になるだろうと思っていました。なので、とても思い入れのある社員なんです。

橋本:愛嬌ありました(笑)? あんまりこういう話を普段聞かないので、嬉しいですね。

2015年の入社直後、杉山さんは、本社が赤坂から南青山へと移転する「オフィス移転プロジェクト」に携わり、新オフィスの選定からデザインまでを先導しました。なぜ、このプロジェクトに参加したのでしょうか?

杉山:移転プロジェクトを任されたのは、PR TIMESに入社して約半年後のタイミングでした。一番の動機は、セールス業務だけでなく新しいことに挑戦していきたいという気持ちがあったからです。もちろん、業務外のプロジェクトなので仕事量が増えることになりますが、業務を調整しながら、代表とともにこの移転プロジェクトを進めていきました。

新オフィスをつくるにあたり、どのようなことを意識したのでしょうか?

杉山:一番の課題は、縦横問わずのコミュニケーションをどのように実現するかということでした。当初は、代表の山口と意見交換をしながら進めることが多く、自分のアイデアを提案するという姿勢が足りていなかったですね。

でも、プロジェクトを進行していくうちに、「オフィスの導線上にカウンターを置けば、立ち止まる社員が増え、もっとコミュニケーションが生まれるのではないか?」など、いろいろなアイデアが浮かび、積極的に提案をするようになりました。そもそも、オフィス移転に正解はないので、会社のためになることを考え、実行していきました。

本社にあるカフェスペース「TIMES GARDEN」

橋本:アイデアを積極的に提案できるようになったきっかけはありますか?

杉山:そもそも、PR TIMESにはデザイナーもいるし、インテリアにこだわるセンスのいい社員もいる。私よりもオフィス移転に適任な人材はいくらでもいるはずなんです。そんななかで、代表は私にすべてを任せてくれました。それが大きな決断であっても、「責任を持ってやってほしい」と、裁量の大きさを実感した。そこから、このプロジェクトに限らず、どんな業務でも積極的に発言し、自ら決断して行動をしていくことを意識するようになりましたね。

仕事で大切なのは「自分で考える」こと。消極的な態度を変えた、祭りプロジェクト

部署の違う杉山さんと橋本さんが、業務で一緒になることはあるのでしょうか?

橋本:入社してから数か月の時期に、「祭りプロジェクト」で一緒になりました。これは、日本国内で自治体などが開催するお祭りや花火大会のリリースを無償で配信するというサービスで、2017年に開始した取り組みです。

地域コミュニティーを活性化する「力」があるお祭りを盛り上げたいという思いから、初めて一人で企画から運用までを担当したのですが、杉山さんには、広報担当としてフロー整理のお手伝いやリリース作成のサポートなどをしてもらいましたね。

橋本が手がけた「祭りプロジェクト」サイトページ

このプロジェクトを通して、橋本さんはどのようなことを学んだのでしょうか?

橋本:杉山さんと仕事をするうちに、PR TIMESは社員に対して裁量を持つことを期待するし、それを認めてくれる文化がある、ということを実感しました。

いままでの自分は、何でも上司にお伺いをたてながら仕事をしていました。祭りプロジェクトのときにも、サイトのランディングページのデザインや、そこに掲載する細かい単語の一つひとつまでを杉山さんに確認し、自分で責任を負うことを避けていたんです。

しかし、杉山さんからは、「責任感を持ってやってほしい」「橋本さんがどうしたいのかを考えてほしい」と言われ、徐々にマインドが変わっていきました。


まさに、杉山さんがオフィス移転プロジェクトで代表の言葉から得た実感が、橋本さんにも受け継がれたんですね。

橋本:そうかもしれませんね。祭りプロジェクトの後、全国の地方銀行との提携プロジェクトも杉山さんと取り組んでいます。いまは逐一、細かい確認をするのではなく「これでいこうと思います」と、自分のなかに明確な答えと責任を持って仕事に取り組めるようになりました。かつての、受け身の態度と比べると、大きく変わったと思います。

杉山:確かに、祭りプロジェクトのときの橋本さんは、失敗したくないという気持ちが強かったかも。デザインひとつとっても「以前こうだったから」と、なるべく責任を回避する発想だった気がします。でも、いまの橋本さんには、責任感や当事者意識が生まれたと思います。

あるとき、橋本さんが、初めてお会いするお客さまに対して手紙を書いて営業活動を行うなど、丁寧なコミュニケーションをコツコツ重ねていることを知りました。入社前から感じていた誠実な人柄に、相手の立場になって行動することや責任感が加わって、それが素敵なかたちで現れているなと感じました。

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「フラットでオープンな関係でありたい」。新卒採用の強化で目指す、理想の組織とは?

一人ひとりが成長の喜びを得ることで、組織や事業が円滑に進んでいく

橋本:積極的に行動をしていくと、周囲と意思疎通が取れなかったり、意見がぶつかりあったりするような「摩擦」が起こることもしばしばありますよね。杉山さんは、そんなとき、どのように折り合いをつけているのでしょうか?

杉山:そうだなあ……。そもそも私は、何かを決めることがとても苦手なタイプです。だからこそ仕事に向き合うときは、会社のミッションである「行動者発の情報が、人の心を揺さぶる時代へ」をゴールに見据えて、そのゴールに沿って行動することを意識しています。

とはいえ、橋本さんの言う通り、意見の食い違いなどが起こることもあるし、普通に落ち込むこともあります。ただ、最終的なゴールは会社のミッションであり、そこにつなげていくことが一番大切なことなので、その軸をぶらさずに、でも相手の意思も聞きながらコミュニケーションをとることを心がけていますね。それが上手にできないことも、まだまだ多いですが……。


経営企画、採用担当などの役割から、PR TIMESの組織全体を考える立場でもある杉山さんは、PR TIMESの組織力をどのように強めていきたいと考えていますか?

杉山:「組織力を高める」となると「チームビルディング」や「コミュニケーション」に目が行きがちですが、私のなかで、まだまだ人数が少なく、成長のアクセルを踏まなければいけないPR TIMESに、いま必要な「組織力」は少し違うのかなと思っています。

山口は、よく「成長はすべてを癒す」と話します。私自身も、社員一人ひとりが「成長する喜び」を得ることによって、組織や事業が円滑に進み、それが組織力を高めることに結びつくと思っています。ここで働く人たちが、会社の成長や事業が社会に及ぼす影響を少しずつでも自分ごととして考えるなかで、組織のあり方が決まっていくのではないでしょうか。


他人の失敗を責めることは絶対にしない。大事なのは次のアクションを起こすこと

杉山:また、組織力という面で重きを置いているのは、新卒採用です。どのようにしたら良い人材を採用することができるのか、採用人事として注力しています。

橋本:なぜ新卒が重要なんですか?

杉山:PR TIMESでは「フラットでオープンな組織」を組織戦略に掲げていますよね。でも、上下関係などを取り払った関係性をつくっていくことは簡単ではありません。

もしも、新卒社員がフラットに議論できるような環境を整えれば、ほかの社員も刺激を受け、変わっていくことができるはず。それによって「フラットでオープン」という理想に近づくだけでなく、社内から多くの行動者が生まれて、PR TIMESという組織は強くなっていく。そんな、既存の組織を刺激していく存在として、新卒の採用を強化していきたいと考えています。


橋本:杉山さんは、役職や部署関係なくどんどんコミュニケーションをとっているし、フラットな議論にも積極的です。ぼくは、そういうフラットな姿勢で、臆さず意見できるようになるためには、少なからず「失敗」の経験が必要だと思っています。

「失敗の経験が必要」とは、どういうことでしょうか?

橋本:代表との会話も、どうしても上下関係のなかで捉えてしまい、自分の意見を言うことを恐れがちでした。しかし、自ら責任をとって行動していくなかで、間違いや失敗を恐れて行動を避けていては何も経験することができないことに気づきました。

PR TIMESでは、役員を含めて誰もが失敗を経験しているからこそ、他人の失敗を責めることは絶対にしない。もしも失敗だったとしても、それを次のプロジェクトに対してどのように活用するかのほうに注目してくれます。それを知ってからは、失敗もポジティブに捉えられるようになりました。

杉山:私も、行動ファーストで動いているぶん、これまでにさまざまな失敗を経験してきました。ただ、その失敗を踏まえて、次の成功を発想することができるようになりました。

日々の仕事で壁にぶつかったときは、プロジェクトごとの目指すゴールと、それに対する自分の役割を明確にして、それを推進していくための「責任感」を持って行動することで乗り越えています。

橋本:「祭りプロジェクト」もまだまだ改善の余地があるため、「成功」とは言えないと思っています。でも、誰も、それを「失敗」とは表現せず、より上手く回していくためにどのようなアクションが必要になってくるかを考えてほしい、と助言してくれます。

ぼくがすべきことは、現在の結果を活かし、次のアクションを考え、実行に移していくことではないかと思っています。

取材・文:萩原雄太 撮影:有坂政晴(STHU)