CULTURE 07

自分を信じられたときに、道は拓ける。二人のチャレンジャーが考える挑戦に不可欠なもの

  • 山田 和広(株式会社PR TIMES サービス開発本部)
  • 三浦 和樹(株式会社PR TIMES PR TV事業本部 本部長)

DATA:2019.06.11

何か新しいことにチャレンジする時、人は誰でもジレンマを抱くものだ。PR TIMESの社内にも、これまで数々のチャレンジャーが生まれ、多くの壁にぶつかりながらもその道を切り開いてきた。

今回登場する山田 和広(やまだ かずひろ)と三浦 和樹(みうら かずき)も、まさにそのチャレンジャーだ。山田はプレスリリース配信サービス「PR TIMES」のフロントエンド・エンジニアでありながら、開発チームのプレゼンス向上のためにこれまで数多くのイベントを主催・協賛するなど、手探りの中挑戦を続けてきた。一方三浦はニュース動画のサービスである「PR TIMES TV/LIVE」にエンジンをかけ、勢いを加速させるために日夜奔走する3年目の若手であり、最年少の事業本部長でもある。

そんな二人が、挑戦の芽を育て、成長の軌道に乗るまでのジレンマとの向き合い方を考える。

山田 和広

山田 和広

株式会社PR TIMES サービス開発本部

1977年8月生まれ。00年、慶應義塾大学環境情報学部卒。大学卒業後、新卒でウェブ制作会社に入社。映画宣伝会社を経て14年にPR TIMESへジョイン。フロントエンド・エンジニアとしてプレスリリース配信サービス「PR TIMES」の開発を手がけるほか、エンジニアチームのプレゼンス向上を狙いとしたイベントなども主催する。

三浦 和樹

三浦 和樹

株式会社PR TIMES PR TV事業本部 本部長

1994年5月生まれ。17年に明治大学法学部を卒業後、新卒でPR TIMESに入社。マーケティング本部営業戦略グループで営業などの仕事を経て、18年2月に「PR TIMES TV/LIVE」の責任者となり、19年6月からは新設されたPR TV事業本部の本部長に。動画サービスの事業成長にフルコミットする。

自分が作ったものに向き合い続けたい。入社の決め手は代表のビジョン

今回お二人に出演いただく「ACTION」という企画は、PR TIMESの部門を超えた社員同士の対談コーナーになります。お聞きしたところ、今回は三浦さんからのオファーで「ぜひ山田さんと対談を!」とのことでしたよね。

三浦:はい! 山田さんとはじっくりお話ししてみたいとずっと思っていたんです。私は今「PR TIMES TV/LIVE」という新しい動画サービスの事業開発を担当していて、一方の山田さんはサービスの裏側を支えるフロントエンド・エンジニア。互いに働く畑が違い、なかなか業務上でもコミュニケーションを取るきっかけがなかったので、またとない機会だと思いました。

三浦 和樹(株式会社PR TIMES PR TV事業本部)

山田:私も声をかけていただけて嬉しいです。三浦さんはまだ3年目ですけれど、いつも頑張っていて「熱い人だな」という印象ですね。オーラがあるなと思います。

三浦:それは光栄です。実は山田さんはエンジニアとしてだけでなくチーム作りという点でもいろいろなチャレンジをしていらっしゃって……私が取り組んでいるサービスは始まったばかりのもので壁に当たることもあり、今日はいろいろと学ばせていただきたいと思います。

ではまず、お二人が普段どんなことをやっているのか、どうしてPR TIMESに入社しようと思ったのか、そうしたバックグラウンドからお聞かせください。山田さんはPR TIMESは2014年入社、会社としては3社目ということでしたよね。

山田:大学を卒業してから、新卒でウェブ制作会社に入社して、次に映画の宣伝会社に移りました。転職したのは純粋に映画好きだったからという理由で、2社目ではハリウッド映画などの公式サイトの作成やオンラインの宣伝企画を担当していました。

三浦:映画好きにとってはとても嬉しい仕事だと思いますが、どうしてそこからまた転職を考えたんですか?

山田:一言で言うと「自分で作ったものを残したかったから」でしょうか。映画って、作品の公開が終われば公式サイトやキャンペーンページは無くなってしまうんですよね。次々に新しいものを作ることができるけれど、作ったものもどんどん消えてしまう。でも、そうじゃなくてきちんと自分が作ったものを残して、それと向き合い続けていける仕事がしたかったんです。

山田 和広(株式会社PR TIMES サービス開発本部)

三浦:なるほど。例えば昨年リリースされた「AI受信」なんかもその一つですよね。時代や技術の変化を捉えながらアップデートしていかなければいけない機能としては象徴的ですね。PR TIMESに入社する最後の決め手はなんだったんですか。

山田:代表の山口(拓己)と面接をしたのが大きかったですね。山口の抱いているビジョンやPR TIMESへの熱い想いを聞いて「この会社で働きたい」と思いました。入社してすぐの頃は「Techable」「IRORIO」(PR TIMESの連結子会社であるマッシュメディアが運営)といったメディアのリニューアルを担当しました。それから「PR TIMES」のリニューアルやカスタマーコミュニケーションツールの「Tayori」の立ち上げに携わって、今では「PR TIMES」の改善や機能追加などを行なっています。

5分しか自分の話ができなかった最終面接。思いが届き、天命を感じた

山田さんは転職組ですが、三浦さんは新卒でしたよね。PR TIMESを選ばれたきっかけと、入社後の歩みについてもお聞かせください。

三浦:私は学生時代からサークルでイベントのスポンサー企業を集めたり、広告プロモーション系のスタートアップに約2年半在籍したりと元々宣伝やPRに興味がありました。そうした学生生活を送っていて、いざ就職先を考える時期になったのですが、就活解禁日の申し込みラッシュに巻き込まれるような一般的な“就活”はしたくなかったんです。そこで挑戦してみたのが「逆採用イベント」でした。これは学生が企業の前で自分自身をプレゼンテーションして、その場で参加企業の人事から指名を受けるというものです。

山田:そこでPR TIMESと出会ったんですね。

三浦:はい。イベントをきっかけに選考がスタートして、最終的にPR TIMESを選んだのは、実は私も山田さんと同じく山口との最終面接が決め手でした。私の場合は、面接といっても60分のうち自分の話ができたのはたった5分。残り55分は山口のビジョンの共有会です。今は面接の仕方も変わっていると思いますが、当時はまったく喋らせてもらえなかったんで、「あ、落ちたな」と思いましたね(笑)。


でも山口のサービスや会社へのパッション、そして「自分を超えるようなアントレプレナーシップのある人材を求めている」という話を聞いて、ここで働きたいと思いました。内定の連絡がきたときは、きたーと思いましたね!その通知を見た途端に、これから選考を受けたいと思っていた会社への興味がまるでなくなりました。天命だったんでしょうか(笑)。

1年目に配属となったマーケティング本部での営業経験を経て、現在は「PR TIMES TV/LIVE」を担当されているんですね。どのような流れだったのでしょうか?

三浦:入社直後の主な業務はプレスリリース配信サービスの営業活動で、企業広報を支援することがメインでしたが、18年2月に「PR TIMES TV/LIVE」を担当しないかと声がかかり、それを引き受けました。ただ始めてすぐに大きな組織改編があったこともあり、正直苦労することは多かったです。新しいことを始めるのって、こんなに大変なのかとひしひし感じました。

「PR TIMES LIVE」といえば、昨年TechCrunchのイベントを世界へライブ中継するという取り組みもやっていましたよね。

三浦:そうなんです。TechCrunch Japanのライブ中継は、私だけでなく、チームメンバー一人ひとりのコミットによって実現したプロジェクトです。一つひとつの積み重ねですが、肌感としてもここ数カ月で勢いがついてきたと感じています。今は、この動画サービスに100%注力する毎日ですね。

社外向けイベントも最初はガラガラ状態。それでも「今より良くしていきたい」という気持ちは捨てない

三浦さんから、新しいことをスタートすることに対する苦労の話が出ましたが、山田さんにとって同じような経験はありますか?

山田:そういう点では、エンジニアとしての業務よりも、エンジニアチームのプレゼンス向上のために取り組んできた様々なイベントが思い浮かびますね。PR TIMESに入社してから早い段階で、山口から「エンジニアとして社外に向けたアピールを、どんどんしていってほしい」と言われました。


エンジニアチームとしてブログを初めてみることからスタートして、外部の方と協力してエンジニア・デザイナー向けの社内イベントを開催したり、勉強会やセミナーでの登壇機会を作ったり、カンファレンスにスポンサーとしてブースを出展したり、色々な取り組みをしてきました。今でこそかたちになりますが、当初はイベントスペースもガラガラ…。席も最前列しか埋まらないという状況もありましたね。

三浦:PR TIMESって広報・PRを支援する会社だと思われていることが多いので、エンジニアチームがそうした取り組みをしていること自体、なかなか知ってもらえる機会が少ないですよね。私も「PR TIMES TV/LIVE」をやっていると「PRの会社なのに何で動画サービスをやっているの?」と言われることがあります。

山田:まさにその通りで、私もよく「PR TIMESってエンジニアなんていたんだ」と言われていました。でも、そのイメージをどうしても払拭したかった。エンジニアチームのプレゼンスを上げることで、それがひいてはいい人材の確保につながり、サービスの向上にもつながると信じていたからです。

でもやっぱり、埋まらない時は埋まりませんよ。けれど、「今よりもっと良くしていきたい」という思いを持ち続けること、そしてそのためにできることをやる。大事なのはそれを繰り返すことです。そうして続けてきたからこそ、先日スポンサーを務めさせていただいた「RubyKaigi」ではキャンセル待ちの満員御礼となりました。嬉しかったですね。


三浦:「今よりもっと良くしていきたい」という気持ちを持ち続ける…、新しいことを始める時には何かとジレンマが付きまとうものですが、大事なことですね。

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挑戦の先に描く、サービスの姿とは? チャレンジャーたちの未来予想図

無作為にアドバイスを求めない。年次よりも“自負”を信じて走り続ける

三浦さんは19年6月にPR TV事業本部 本部長に就任されましたが、ご自身の手で育てていく「PR TIMES TV/LIVE」に託す思いについても伺えますか。

三浦:元々「PR TIMES TV/LIVE」は私が生み出したサービスではなく、他のチームで立ち上げられたものでした。ただ当時は社内に動画の知見がほとんどなく、立ち上げた社員もメイン業務と兼務しながらの運営でしたので、なかなかエンジンがかからずにくすぶっていた状態でした。そんなとき担当に抜擢されて…、正直悩みましたが、私も覚悟を決めました。それは、このサービスの内容と可能性をしっかり紐解いて理解していく中で、時流に乗ったサービスで絶対に素晴らしい価値を提供できると確信したからです。そこからが本当のスタートでしたね。


初めはコツコツ社内外にサービスの良さを説き続けることから始め、動画制作の方針確立やSNSアカウントの運営、カンファレンスへの登壇など、未経験なことを手探りながら続けていきました。カットの切り替えやテロップの表示タイミングを、0.5秒単位で1本ずつ調整した時期もありました。一つひとつ積み重ねる中で賛同者が徐々に増え、導入してくださるお客様ができ、社内の営業担当も大きな力になってくれた。それはここ半年の数字の変化としても現れています。一歩ずつではありますが、小さな火が少しずつ大きくなりつつあるところです。

山田:走り始める時、誰か——例えば山口にアドバイスを求めたりしたんですか?

三浦:それで言うと、結構勝手にやっていました(笑)。本当は山口にアドバイスをもらったりすべきなのかもしれませんが、私はすごく影響を受けやすい自分の質(たち)を理解しているので、あえて意見は聞かないようにしていた、というのが近いかもしれません。当時新卒2年目でしたが、社内で誰よりも動画を見ているのは私だという自負もありましたし、このサービスにとっての“正解”は山口も含め、誰も知らない。だから、あえてそうした情報は無作為には取り込まず、自分で考え、自分で決断したことを信じるように貫きました。

三浦さんのそういう姿勢には、アントレプレナーシップを感じます。

三浦:いえ、まだまだですね。ただ、PR TIMESは私のような社員にチャレンジの場を与えてくれる会社だと思います。世に言われる起業家は自分自身と社会に向き合ったサービスを作り続けてきました。私自身もそういう人に憧れているので、これからもっとアクセルを踏んで走り続けるつもりです。

常に頭にあるのはユーザーの姿。現場の声を頼りに画面の向こう側にある課題を解決する

チャレンジといえば、先ほども少し話がでた「リリースAI受信」β版のリリースに山田さんは大きく携わっていらっしゃいますよね。どのようなプロジェクトだったのでしょう?

山田:「リリースAI受信」はPR TIMESのユーザー、中でもメディア記者・編集者の方々にもっと使いやすいプレスリリースサービスを提供したいという山口の思いから着想に至ったアイディアでした。当時はAIの話題も豊富な頃で、人口知能を活用し、メディア関係者が受け取るプレスリリースの収集精度を改善し、企業広報にとっても新たな価値が生まれる機能にしたいと考えました。ただAIにまつわる知見は全くと言っていいほどなかったので、私自身試行錯誤の日々でした。私はフロントエンドのエンジニアなので、UIなどお客様が触れる機能を担当することが多いのですが、この時はサーバーサイドのデータベース設計から着手しないといけなかったので……結構苦労しました(笑)。


三浦:山田さんの机、本の山で大変なことになっていましたよね!

山田:そうなんです。ただ、これはエンジニアの特徴なのかもしれませんが、新しいものが目の前にあると楽しくなってどんどん突き詰めちゃうんですよね。それに、やっぱり自分の作ったものの積み重ねがそこに生まれるのが嬉しかったんです。前職の映画の宣伝会社の時に抱いていた、ぼんやりとした虚無感みたいなものはなく、やりがいはすごくありました。

三浦:「リリースAI受信」もそうですが、エンジニアとして開発の時にいつも気をつけていることは何ですか?

山田:ユーザーを意識することでしょうか。PR TIMESにとってのユーザーは、クライアントからメディア、生活者まで幅広いですが、自分が手を入れる箇所を実際に使っているユーザーのことを想像する。「リリースAI受信」の場合は、メディアの方たちが新たな話題を探す時、PR TIMESのサービスを開いてどんなことができればもっと便利になるかをイメージするんです。そのためにも、イベントで出会ったメディアの人や、もっともお客様の生の声を聞いているCR(カスタマーリレーション)の人に積極的に話を聞いていました。

「きっとできる」と信じて継続し、互いに協力し合える空気を生み出したい

新しいチャレンジを続けられているお二人からいろいろなお話をお聞きしてきました。今後の展望についてもお聞かせいただけますか。

三浦:「PR TIMES TV/LIVE」に関しては、勢いのある動画コンテンツ市場でしっかりポジションをとっていきたいと思っています。今オンラインでの動画コンテンツの主役はYouTuberをはじめとしたクリエイター、そしてサブスクリプションなどのオンデマンドコンテンツのサプライヤーがメインとなっていますが、ニュースというカテゴリーで「PR TIMES TV/LIVE」も十分入り込んでいけると考えています。将来的には、スマホで動画を見ている人の半分がニュースを見ていて、その世界には「PR TIMES TV/LIVE」の姿があるといいなと思っています。


山田:明確なビジョンですね!

三浦:自分の中でもしっかりはまったなと感じたのは、ここ最近なんです。会社のミッションともリンクしていますし、ビジョンが定まってからの数か月はパワフルに動けていると実感しています。山田さんの中長期的なビジョンについてもお聞きしたいです。

山田:エンジニアチームとしては、現状のシステムの刷新に力を入れたいと思っています。PR TIMESのプレスリリース配信サービスは基盤となるシステムがあり、年数が経つとなかなか思い切って手を入れるのは難しい。ですが、そこを一新することにチャレンジしたい。あらゆる可能性を視野に入れ、開発チームとしてできることをやっていきたいと思います。

三浦:それはとても楽しみです! なかなか大掛かりですね。

山田:三浦さんも先ほどおっしゃっていましたが、大変そうなこともやっぱり信じてやるしかないと思っています。そして、自分たちを信じられる環境を作るためにも、頑張っている人を互いに応援し合い、協力し合えるような空気ができるといいですよね。

三浦:組織づくり、チームづくりに大切なことってまさしくそういうことだと、私も思います。PR TIMESのValuesも刷新されましたが、「Act now, Think big」「Open and Flat for breakthrough」「One’s commitment, Public first」の3つをちゃんと頭と心で理解して、行動や発言に落とせるように、いつも胸に抱いていたいです。


取材・文:田代くるみ@Qurumu 撮影:高木亜麗