ビジネスパーソンに聞く仕事術
法律や税務に関わる問題を抱えている人向けに「離婚・調停相談サポート」「交通事故・示談相談サポート」「相続・遺産問題相談サポート」など、50以上のサイトを運営している日本法規情報株式会社。弁護士や司法書士、税理士などの先生を「探す」「調べる」「比べる」ことができる法律相談検索サービスを提供しています。
悩みを抱える人たちに自社の各サイトを知ってもらうため、これまで同社は先生に相談したい人たちと既に接点のある企業・団体と協業して、同社のサイトを紙メディアや口コミなどでご案内してもらう取り組み、言うなれば“地上戦”に力を入れていました。
そんな同社がPR活動という“空中戦”を始めたのは2013年5月のこと。以来1年間、自主調査のプレスリリースなどを PR TIMESを使って配信してきたことで、どのような成果を得られるようになってきたのでしょうか。同社の今村愼太郎代表取締役社長にお話を伺いました。
貴社の事業内容について、教えていただけないでしょうか。
弁護士・司法書士・行政書士、税理士といった法律・税務領域の先生を、検索できる情報サイトを運営しています。サイト利用者に居住地や相談内容などの条件を入力して検索していただき、条件に当てはまる相談窓口を表示する仕組みです。
運営するサイト数は50以上になり、「離婚・調停相談サポート」「交通事故・示談相談サポート」といった相談内容ごとに適切な相談窓口を探せるサイトもあれば、「法律事務所検索サポート」「税理士事務所検索サポート」などの各資格者を探せるサイトもあります。
サイトへの集客方法としては、これまでは事業提携したパートナー企業の力を借りることがほとんどでした。例えば、福利厚生サービスを提供している企業と提携して、その会社が顧客企業に配布している資料に法律相談の欄を設けてもらい、そこで当社サイトをご案内してもらうといったやり方です。
人事・労務・社会保険関連のサイトなら、そのような福利厚生サービスの会社、不動産登記のサイトなら不動産会社といった具合に、各サイトの特性に合ったパートナー企業と提携してサイト利用者を増やしてきました。言うなれば、これまでは“地上戦”に頼ってきたわけです。
そのような“地上戦”で確かな成果を出していた中で、PR活動にも取り組むようになった理由を聞かせてください。
「日本法規情報」という企業ブランドを広めるためです。“地上戦”によって個々のサイトの利用者数を増やすことはできても、50以上ものサイトを運営していたため、「日本法規情報」という会社のブランドはそれほど認知されていませんでした。
当社のブランド認知が高くなれば、“地上戦”に協力していただけるパートナー企業との提携交渉もうまく進むでしょうし、当社サイトに「情報を載せたい」という相談窓口も増えるはずです。
そんなことを考えるようになっていたころ、当社のサイト運営担当者が「PRを試してみよう」と広報活動に取り組み始め、プレスリリース配信サービスとしてPR TIMESを導入しました。すると、広報活動を続けることでサイトへの流入数が増え、私自身も取引先や知人から「プレスリリースを出していたね」と連絡をもらえるようになったのです。
PRの効果を一番感じたのは、どんなときだったでしょうか。
何よりも効果が大きかったのは、2014年1月にPR TIMESで配信した自主調査「相続トラブル意識調査」のプレスリリースが、Yahoo!トピックスで取り上げられたことですね。相続税が増税されることを知っている人がわずか16%にすぎないことを伝えるものでした。その後に配信した相続に関する親族トラブルのリリースも、同じくYahoo!トピックスに掲載されまして、TwitterなどのSNSで話題になりました。
そのように「Yahoo!トピックスに当社のプレスリリースが掲載されたことがある」という事実を伝えると、事業提携を進める際、相手企業に好印象を持ってもらえやすくなります。同じように、弁護士や司法書士などの事務所に当社サイトへの情報掲載を提案する際にも、「Yahoo!トピックスに出ていたサイトです」と説明すれば「利用者も多いんだろう」と思ってもらえます。
その効果は数字にも如実に表れています。Yahoo!トピックス掲載後、商談の成功率は、実感として10~20%ほど向上しました。また、先生方から「情報を載せたい」と問い合わせいただけることも増えました。PR活動に注力する前はほとんどなかったのが、最近は新規に情報掲載する件数のうち10%ほどは先方から問い合わせいただいた案件になってきています。「パートナー企業になりたい」と問い合わせいただくことも出てきていますね。
さらに先ほどお話したように、当社のサイト全体のPV数も右肩上がりで伸びています。実際、当社サイト経由で先生方に相談する利用者数も増加しているようです。
Yahoo!トピックスに載るなど、貴社のプレスリリースが多くのメディアで取り上げられる要因は、どこにあると分析されていますか?
当初は「相続対策をきちんと考えているか」「マルチ商法や悪徳商法に遭ったことがあるか」といったように、法律問題をそのまま取り上げて調査していました。ですが、それでは堅くて退屈な印象しか与えず、なかなか読んでもらえないことに気付きました。
そこで、「『ストーカー加害者は知人』が6割強」「『専業主婦になるのが大前提』など『働く意思のない女性』とは恋愛したくないという男性が10人に1人」など、恋愛ネタや仕事ネタといった読み手の興味を惹きそうな柔らかいネタを取り上げるように方針を変えました。
プレスリリースの書き方も工夫して、文章の出だしは多くの人にとって読みやすく興味を引く内容にして、そこから法律・財務問題となる要素を抜き出して、最終的に先生への相談につなげるような全体構成にしました。例えば、相続問題を取り上げるにしても、まずは「『親族間トラブルで悩んでいる』は3人に1人」といったインパクトの大きいデータを見せるようにしているのです。
そのような調査のテーマは、どのように企画しているのでしょうか。
自主調査のテーマは社内で話し合って決めています。その際には、「50以上あるサイトの中で最も注目を集めたいサイトはどれか」「そのサイトの注目度を高めるには、どのような情報が効果的か」といった考え方で、まずは調査の大枠を固めます。
続いて、当社のサイトで記事を書いてくれているライターから具体的なネタを出してもらいます。彼らは法律事務所の方たちに日々取材していますから、興味深いネタをいろいろと持っています。その中から、調査テーマとして最適なものを選んで、調査を実施するという流れですね。
今後、PR活動をどう展開していく計画でしょうか。
広報の効果は十分に感じていますから、今後は広報予算を増やして、当社のブランドをより多方面に認知してもらえるようにしたいと考えています。
もう1つ、相談者にとってより役に立つ情報を提供していきたいです。当社は多くの相談窓口や先生、そして企業とコネクションを持っていますので、コンテンツに困ることはないんですよ。あとは提供できるコンテンツをどのように加工してより伝わりやすくしていくか、そこをもっと工夫していきたいと思います。
広報業務のナレッジが豊富なPR TIMESには、そのために必要なアドバイスを求めていきたいですし、引き続き当社のPR活動に協力していただきたいですね。