CULTURE 66

未経験からNPOの広報担当に挑戦。そこで得た経験と見えた景色

  • 江口 京佑(PR TIMES事業ユニット 第一営業部)

DATA:2025.06.11

こんにちは。2023年11月に中途入社し、1年半を迎えた江口です。 
現在はPR TIMESを既にご活用いただいている企業様に向けて、利活用のご提案やセミナーを企画・登壇をしております。

今回、NPO広報研修プロジェクトに向き合った3ヶ月間をお伝えします。
広報の実務経験がなかった私が、どのように団体の広報の「ひとり」として携わってきたのか。各企業や団体で「ひとり広報」を行っている、これから広報を始める「だれ」かの励みやパワーになりましたら嬉しいです。

だれブロ ーまだ、話していないことー
私が「だれか」お伝えします。働く誰か、働こうとしている誰かに役立ってほしい。
そんな想いでPR TIMESのメンバーが紡ぐブログです。
PR TIMESで働く「私」の仕事とそのほかいろいろ。
うれしいとか、やる気がでるとか、やめようかなぁとか。
だれかの、働く今日の気持ちにつながりますように。

江口 京佑

江口 京佑

PR TIMES事業ユニット 第一営業部

千葉県浦安市出身、学生時代は体育会バスケットボール部に所属。
大学を卒業後、新卒で機械メーカーの法人営業に従事。2023年11月、PR TIMESに中途入社。
PR TIMESでは民間企業から自治体まで多様なクライアントを担当。
また、1対1の営業活動とは別に1対多のイベント・セミナー登壇などを行っている。

PR TIMESの社員が非営利団体(NPO)において3カ月間の研修を通して、団体の活動目的の理解に基づく広報体制の立ち上げや強化するための活動を実践し、またPR TIMESのお客様に還元できるように広報の現場で実務を学ぶ取り組みになります。

詳細はこちらからも確認できます。

第1期のプロジェクトを先行して実施しており、私はそのバトンを引き継ぎ、NPO法人アクセプト・インターナショナルで2024年9月~11月の期間に、研修履修者として団体の広報業務を行いました。

3ヶ月間ともに過ごす中で見えた、NPO広報のリアルと挑戦

組織の皆さんが外部の人を快く迎え入れない可能性も考え、恐る恐る初日を迎えました。しかし、皆さんが明るく迎え入れてくださり、初日には全体集会のようなものもあり、非常に良い形でスタートできました。

PR TIMESとしてプレスリリースサービスをお客様に提案する立場でありながら、入社してからプレスリリースを一度も書いたことがなかったので、その書き方や構成には大変苦労しました。

団体の中で広報と向き合う中で、いくつかの課題が見えてきました。例えば下記になります。

  • 団体内にプレスリリースを書いたことがある人が少ない。
  • 広報部署と現場での広報ネタの認識のずれ。
  • 現場のイベントなどの情報が広報まで上がってこない。
  • 私がNPOの現場経験がない。

これまでNPOの情報に触れたことがなく、業界知識が浅いことで、「伝わる」プレスリリースを書くことに大変苦労しました。

課題を打破するために、理解をしてもらうことではなく、私が理解をすることから入り、現場の最前線で働くメンバーの方との日常的なコミュニケーションを重視しました。
また、日常的に会話することで、待っているだけでは得られない情報にも出会うことができます。
広報からの発信を強化するためには、広報自身が情報を入手しにいくことや、情報が集まりやすい仕組みづくりが重要です。

私自身、「広報活動=プレスリリース作成」という認識が強かったことにも気づきました。
団体の方々はプレスリリースよりも効果的な手法がないか考えており、広報実務において必ずしもプレスリリースの優先順位が一番ではないことを、実践を通して学ぶ機会となりました。
NPOの広報は一人で担当しているケースが多く、他の実務と兼任しているので、なかなかリソースが注げないことも現場を見て気付きました。

広報をしていると、メディアに掲載され、多くの方に知っていただけることは非常に嬉しいものです。
一方、団体の中では、全ての方がメディアへの掲載を目指しているわけではありません。それぞれ個人の事情でメディアに出ることは難しい場合もあります。
全員が同じ方向を向いて活動できるよう、その中に広報の役割を落とし込むことの難しさも痛感しました。

しかし、広報が諦めてしまえば、皆さんが忙しいこともあり、その団体の情報発信が止まってしまうという危機感がありました。

社内の広報への印象を変えるための勉強会から着手

私が団体に対して取り組んだことは、主に以下の2点です。

  • 組織にPRの重要性を伝え、PRの考え方を浸透させること
  • 継続的な情報発信の重要性を認識してもらうこと

そこでまず、広報における目標を明確にする場を設けたり、団体内で広報PRやプレスリリースについて知ってもらうための勉強会からスタートしました。

勉強会では、広報PRの基本的な考え方や、プレスリリースを通じてどのように情報がメディアや生活者に広がっていくのかを中心に伝えました。

   JID 2025 by ASCII STARTUPより

さらに広報活動に前向きに取り組んでもらうため、社内でのコミュニケーションにおいて重要視したのは以下の点です。

  • どのような情報を発信すればどのような効果が得られるのか、発信前と発信後の変化を具体的に伝えること。
  • その未来にワクワクしてもらうこと。

少しずつ広報活動に前向きに携わってくれる人が増えてきて、団体からの理解を得ることができるようになりました。

代表の永井さんや山﨑さんからは共通して「自分でその物事の本質を理解して行動に落とし込んでいくことが大切」とフィードバックをいただきました。

他にもたくさんのフィードバックをいただきました(笑)
普段は口頭でいただいていましたが、山﨑さんから許可をいただき、フィードバックを公開します!

良い部分も改善すべき部分も、どちらも伝えるコミュニケーションはPR TIMESでも大切にしていることであり、フィードバックを受ける側として、気持ちの良いやり取りができたと感じています。

フィードバック内の「世界初」の表記には大変悩みました。PR TIMESではコンテンツ基準において日本初や最安値等の最上級表現(最上級表示)には注意が必要となります。当時はより良い表現を模索せず、あえて避けた表現を選んでいました。しかし、団体のことを一番に考えた時、団体の魅力が伝わる表現を広報担当の自分自身が考えるべきだと思い、タイトルの改善にこだわりました。
その時のプレスリリースはこちらになります。

街頭に立ち、自分も動く広報に

3カ月という限られた期間の中で、団体の活動内容を深く理解するには時間が必要だと感じました。しかし、その組織において何が大切で、そのために何をすべきか、目的に立ち返ることが多々ありました。

団体の目的を考え始めた時、改めてNPOと企業の違いについても考えるようになりました。NPO法人には毎年広報予算があるわけではなく、支援してくださる方々からの継続的な寄付がなければ、広報活動も団体の活動も進められません。

国内企業の活動は身近に感じやすいですが、NPOの活動は、私たちが経験したことのないような環境で社会課題の解決を目指しています。これまで経験のないような世界中で行われているNPOの活動に、いかに興味を持ってもらい、さらに自分事として考えるきっかけを作れるかが、NPOの広報における役割だと私は考えています。一度きりの寄付をしてもらうのではなく、いかに賛同してもらい応援し続けてもらうための施策を考え、実行することにやりがいや楽しさを感じています。

実際に団体初の街頭での寄付活動を行うなど、プレスリリース作成だけでなく、広報が現場に足を運び、直接声を聴くことも貴重な経験となりました。

10月には、団体事務所の近くで屋外寄付活動を団体として初めて実施しました。

団体のことや想いを自ら伝えていくことに最初は恥ずかしさもありましたが、この活動に共感してくれる方や、応援してくれる方と直接触れ合うことができました。その言葉を団体内に還元することが、組織のエンゲージメント向上にもつながるため、「広報は組織外の人だけでなく、組織内の人にも良い影響を与えられる。本当に広報は社内と社外の人をつなぐ架け橋なんだ」と肌で感じることができました。

広報の現場を肌で感じることができたからこそのこれから

プロジェクト終了後も得た学びを、実務に生かす日々を送っています。

現場で得た経験を社内で伝えたり、お客様の広報活動への貢献に向けて動いています。

先日、社内勉強会でNPOでの広報経験をシェアしたところ、異なる業界で働いたことで、組織のあり方を考えるきっかけにもなりました。組織のためにどれだけ自分が力になれるか、組織のカルチャーが異なっていても、自分の行動次第で組織をプラスに導けるのだと実感しました。これまでは組織は所属するものであり、変えるものではないと考えていましたが、人に任せるのではなく、自分が良い方向に変えるのだと、意識が自分に向かいました。最初からうまくはいきませんが、自分の行動で周りを巻き込みながら、日々葛藤しています。

入社当初は誰かと比較してしまい、なかなか前に進めませんでしたし、新しいことに挑戦するのは正直怖かったです。しかし、未経験であることは決して恥ずかしいことではありません。何も行動せずできないままでいることの方が怖いと、この広報研修で強く感じました。

研修を終えてからは、自分からお客様との面会の良かった点や課題点を部内に発信することが増えました。周りからは「江口さん、素直になったね」と言われるようにもなりました(笑)。今は全てがうまくいっているわけではありませんが、ポジティブな要素を促す発信は心がけています。

今後も新しい挑戦を積み重ねていきたいと思います。未経験でも恐れずに進み続ける私の姿が、誰かの新しい挑戦を後押しするきっかけになってくれたら嬉しいです。