<セミナーレポート>PRESIDENT Onlineプロデューサーが語る“良記事”を生み出す発想法

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プレジデント社
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PR TIMESが主催するメディア記者・編集者向けの懇親会「TIMES Meetup」。2017年2月2日に開催したTIMES Meetup(記者40名超参加)には、プレジデント社の吉岡綾乃氏に登壇いただきました。

吉岡氏はITmediaやPRESIDENT Onlineなどで数々の人気記事を手掛けてきました。そうした人気記事は、どんな発想から生み出されたのでしょうか。“良記事”の発想法をテーマに語っていただきました。本セミナーレポートでは、その内容を一部抜粋してお届けいたします。

【プロフィール】
プレジデント社 オンライン編集部 プロデューサー
吉岡綾乃氏
ソフトバンクに入社し、PC雑誌の編集に携わる。その後アイティメディアにグループ内転職した後、Business Media 誠(現:ITmedia ビジネスオンライン)の初代編集長に就任。現在はプロデューサーとして、PRESIDENT Onlineのビジネスを担う。

紙媒体からWeb媒体、そして再び紙媒体へ戻った編集者としてのキャリア

 PRESIDENT Online編集部の吉岡と申します。今日は「“良記事”の発想法」というテーマで話をさせていただきます。

 私は新卒でソフトバンクに入社しまして、雑誌『DOS/V magazine』で6年間、編集者として働きました。その後、ソフトバンクグループのアイティメディアにグループ内転職。Web媒体専業の同社に10年ほど在籍し、「ITmedia Mobile」「Business Media 誠(現:ITmedia ビジネスオンライン)」「ねとらぼ」といった媒体で、編集記者の仕事をしてきました。そして2015年8月、プレジデント社に転職し、編集者としての仕事の他に、プロデューサーとしてデジタル事業のマネタイズも任されています。

 最近は、紙媒体の会社からWeb媒体の会社へ転職する編集者が目立ちますし、Web媒体からキャリアを始める編集者も増えてきています。その中で、紙媒体からWeb媒体に移り、そこから紙媒体中心の会社に転職するという私のようなキャリアを歩む人は、珍しいのではないかなと思います。

「PRESIDENT Online」、2016年8月にリニューアルした狙い

 私が携わっているWeb媒体「PRESIDENT Online」は2016年8月8日にリニューアルしました。以前は別々に運営していた「PRESIDENT Online」と「PRESIDENT WOMAN Online」という2つの媒体を1つにまとめました。

 リニューアルの狙いとしては、雑誌とWebの連携を強化すること、PV数を追うよりも会員数を重視する方針に転換すること、時事性のある記事を強化することなどが挙げられます。

 PRESIDENT Onlineの媒体規模は現在、月間2000万~3000万PVほど、閲覧者数は月間350万~500万UB。ビジネス誌系のWeb媒体としては3~4番手につけています。

 読者層は30~40代の係長・課長クラスの会社員や、中小企業の経営者を中心に読まれています。男女比は7:3くらいで女性の読者も意外と多いです。

Web媒体にとっての“良記事”とは、「PV数が多い記事」「その媒体らしい記事」

 それでは、本日のテーマに入っていきましょう。まず、“良記事”とはどんなものなのかと考えてみました。

 人によって定義は異なると思いますが、私の考えでは、Web媒体にとっての“良記事”は大きく2つに分けられます。

 1つは、PV数が多い記事です。ビジネスとしてWeb媒体を運営していくためには、計画したとおりにPVを集めることが重要です。それができなくては、編集長の職責を果たせません。月間2000万PVを達成する予算を組んでいたのに1000万PVしか取れなかったら、広告収入が半減して赤字になってもおかしくありませんから。

 2つ目に、PV数は多くなくともその媒体らしい記事も“良記事”です。その媒体らしい記事が増えてくると、たとえPV数が伸びなくても、読者の回遊率が上がり会員数の増加につながっていきます。こうした記事はなかなか目立たないのですが、その媒体らしい記事を書いた記者に「いい記事を書いた」「こういう記事が大事」と褒めることも編集長の大事な仕事だと感じます。

「PV数が多い記事」の書き方は、おいしい料理の作り方に似ている

 ここからはこの2つの“良記事”のうち、「PV数が多い記事」を書くための発想法について話をしていきます。

 私は、多くの人に読まれる記事を作ることは、おいしい料理を作ることと似ていると考えています。おいしい料理を作るには、いい食材を仕入れ、適切な調理法を選び、おいしそうに盛り付けることが大切です。

 Webで読まれる記事の作り方も料理と同じです。まずはいいネタを仕入れて、取材したり調査したりして面白く書く。面白い見せ方を考えて、SNSを使ってバズらせるところまでがWebの記事を読ませるために必要なことなのです。

記事ネタを調理する手法のバリエーションを持っておこう

 それでは、読まれる記事を作るためにはどうすればいいのか、具体的に取り上げていきましょう。

 第一に、記事のネタの「仕入れ」です。いいテーマを考えつくのがまず大切。そして、重要なことを知っている人、書ける人と知り合いになるのも重要です。

 次に、いいネタを調理する手法のバリエーションを持っておくことも必要でしょう。例えば、ニュース速報ならいかに速く出すか。インタビューや対談の記事なら、誰に語ってもらうかが重要ですが、いい記事を執筆してくれるライターとのつながりも大事になります。インタビュー記事を作るにしても、他社が2000~3000文字で原稿を作成するとしたら、自分たちは1万文字を超えるボリュームでしっかり作り込むなど、差別化の方法はいろいろあります。イラストや動画、インフォグラフィックなどを盛り込んで記事ネタを調理できるようになっておくと、表現の選択肢は広がります。

 そして最後に「盛り付け」に相当する部分。読んでためになる、読後の心に残る、他の人にシェアしたくなるような記事の見せ方を身につけておくことです。良い記事なら必ず読まれる、というわけではないのが難しいところでもあり、Webメディアの面白いところです。SNSで広まる記事には「一言いいたくなる」余白があるものが多く、余韻を持たせることが大切です。

紙とWebはかなり違う。Web記事を読ませるには、タイトルとツカミが重要に

 私は紙媒体とWeb媒体、どちらの仕事も経験してきましたが、紙とWebとで編集者が気をつけるべきポイントはかなり違うなとよく思います。

 紙媒体は、前から順番に読んでもらえます。読者は基本的に同じ人なので、細かい説明を繰り返さなくても伝わりますし、逆に説明がくどいと嫌われます。タイトルも文章のサマリになっていればOK。読者は比較的根気強く、長時間じっくりと読んでくれます。

 一方、Web媒体の場合は、記事を最後まで読ませるのは大変です。ですから、タイトルとツカミ、つまりリードは非常に重要になります。私が転職してきたとき、PRESIDENT Onlineではリードのことを「サマリ(要約)」と呼んでいるのですが、「サマリでは読む気になってもらえないから、読者を読む気にさせるリードを考えないといけない」という話を、何度か編集部内でしてきました。

 参考として、タイトルでPV数を増やせた例を紹介しましょう。「プリウスはカッコ悪い」というトヨタ社長のコメントをタイトルに使ったインタビュー記事は、多くの読者に読んでもらえました。こうした問いかけや誰かのセリフ、意外性のある言葉から始まる文章には、読者を引き込む力があります。 

 タイトルは何度も考え直すべきですし、極端な話、公開してから変更してもいいくらいです。読者に記事を読んでもらうには、分かりやすくてインパクトのあるタイトルを考えること。検索エンジンの上位に表示させたいなら、必要なキーワードをタイトルに全部含めるようにしてください。

Webの記事は気づかれないと存在しないも同然。読まれる工夫が非常に大切

 また、Webの記事はどこから読まれるか分かりません。シリーズものの記事なら既に掲載した記事へのリンクを掲載する、説明が必要な箇所には詳しく解説している別記事にリンクするといった工夫をした方がいいでしょう。

 そして、読者は「あなたの文章を初めて読む人」だと考えてください。筆者のバックグラウンドであるとか、普段どんな文章を書いている人なのかということを、読者はまず知りません。よほど名前が通っている筆者さんでもない限り、Webの記事は原則、一期一会。いつも読者は「初めて読む人」だと思っていた方が、失敗は少なくなります。

 Webの記事は、読者に気づいてもらえないと存在しないのと同じです。1人でも多くの人に読んでもらうため、タイトルやツカミなどを工夫することが非常に大切です。

 Webで読まれる記事を作るためのこうした工夫は、基本的に編集者の仕事だと思っています。ライターさんは原稿を書くだけで精一杯ですから、こうしたポイントを押さえて編集者が「編集視点」で原稿をチェックするようにしてください。

特集に3カ月かける紙媒体、取材翌日には記事にするWeb媒体

 最後に、PRESIDENT Online関連のお知らせをさせてください。

 2017年2月から、「気になる新商品の企画書(http://president.jp/ud/theme/i/proposal-of-new-products)」という新連載を始めました。編集者(私)やライターさんが気になる商品を取り上げ、開発したメーカーに取材して、開発担当者に企画書を見せてもらおうという企画です。職場で企画を担当している読者にとっては、他企業の企画書からヒントを得られるはずです。その商品に興味がある読者にも、企画書には興味を持ってもらえると思います。初回は「打倒アクア? 日産自動車30年ぶりの快挙『ノートe-POWER』の企画書(http://president.jp/articles/-/21227)」という記事を掲載しました。今後、毎週水曜日に1本ずつ公開していく予定です。

 雑誌に掲載する特集の中には、3カ月もかけて制作するものもあります。Web媒体では「今日取材して、明日掲載する」という働き方でしたが、雑誌はそれだけの手間暇や時間をかけて、いい特集やいい記事を作ろうとしています。切り口や見せ方など、改めて雑誌をじっくり読むと、Web編集者でも参考になることは多いでしょう。自分の企画力を試すため、鍛えるためにも、雑誌を読むことは役立つのではないかなと思います。

以上、PR TIMES主催のセミナーレポートでした。
今後もメディア記者・編集者向けの懇親会「TIMES Meetup」は開催予定です。次回ご案内をどうぞお待ちください!

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