CROSS TALK 02

京都銀行のベンチャー精神が教えてくれた、綺麗事ではない「仕事の本質」

  • 福岡亮(京都銀行 公務・地域連携部)
  • 安達規晶(京都銀行 公務・地域連携部)
  • 小暮桃子(株式会社PR TIMES マーケティング本部 営業戦略グループ)

DATA:2018.12.05

目の前の仕事に一生懸命な人ほど、仕事に追われている感覚があるかもしれない。忙しいままに日々が過ぎていくと、自分の仕事の意味を問い直したくなることもあるだろう。

そんな、誰しもが一度は経験する悩みを、立候補したプロジェクトの活動によって打ち砕いたのが、PR TIMES マーケティング本部の小暮桃子(こぐれ ももこ)。彼女は入社して約半年後に、地方金融機関の提携プロジェクトをたった一人で担当し、そこで「仕事の本質」を強く感じたという。

きっかけをつくったのは、「ベンチャー精神」を持つ、京都銀行だ。長い歴史を持つ京都銀行は、前例のない新たな「PR支援プロジェクト」に賛同し、どこよりも早く業務提携に至った。この決断の裏には、京都銀行の伝統として受け継がれる「行動するカルチャー」があった。

今回は、京都銀行で公務・地域連携部に所属する福岡亮(ふくおか りょう)さんと安達規晶(あだち のりあき)さんをゲストにお迎えし、小暮の仕事観に大きな影響を与えたという京都銀行の「行動力」や、提携プロジェクトの道のりを通して学んだ「仕事の本質」について語ってもらった。

福岡亮

福岡亮

京都銀行 公務・地域連携部

1998年、京都銀行に入行後、主に中小企業の法人営業を担当。2003年からは本部にてベンチャー投資やビジネスマッチング業務に従事。現在は、上記業務に加え、地方創生ビジネスの支援にも携わっている。

安達規晶

安達規晶

京都銀行 公務・地域連携部

2009年、京都銀行に入行。営業店では主に法人営業と個人ローン営業を担当。2013年からは本部にてベンチャー投資やビジネスマッチング業務などに従事。その他、創業支援や産学連携などにも携わっている。

小暮桃子

小暮桃子

株式会社PR TIMES マーケティング本部 営業戦略グループ

2016年、PR TIMESに入社。プレスリリース配信サービス「PR TIMES」のセールス兼マーケティングを主な業務とするなかで、当時、全社公募されていた地方金融機関との提携プロジェクトに立候補する。経営陣から「ダメでもともと」といわれていた地方金融機関との提携プロジェクトをたった一人で推進し、一例目となる京都銀行との業務提携を実現。その後、現在10例の地方金融機関と提携を締結させて軌道に乗せている。

半年間で22の銀行にアプローチして提携ゼロ。痛感した業界の「慎重な体質」

2016年6月にスタートした、地方金融機関との提携プロジェクト。最初に提携を結んだ京都銀行とは、どのようにつながっていったのでしょうか?

小暮:そもそもこのプロジェクトが発足したのは、「地元の枠を超えて、ニュースが流通する仕組みをつくりたい」という、PR TIMESがかねてから抱いていた課題を解決しようとしたことがきっかけでした。ただ、初めから現在のような大義を掲げていたわけではなく、前例のない地方金融機関との業務提携をなんとか実現させたいという思いで動き出したものでした。

このプロジェクトのスタートと同時に、多くの地方金融機関に足を運び、お話にあがりました。しかし提携実績がゼロだった頃は、「面白いサービスではあるけれど、ほかの銀行はどのような状況ですか?」「ほかの銀行が提携するのであれば検討します」と言われることが多く、先の見えない状況が続きました。

小暮桃子(株式会社PR TIMES マーケティング本部)

それはなぜでしょうか?

小暮:やはり、普段から個人の資産や情報を預かる公共性の高い仕事をされていますし、金融業界全体が慎重さを必要とする体質であることを、当たり前のことながら痛感しました。

22もの地方金融機関にお会いしましたが、京都銀行さんとは2016年7月にお会いし、そのときに福岡さんとも初めてお話をさせていただきました。このプロジェクトをスタートさせた経緯や思いのほか、京都銀行の取引先に対して6か月間で3回まで無料でリリース配信ができる「特別プラン」のご提案をさせていただきました。

福岡:小暮さんからさまざまなご説明を受けて、メディアがどのように情報を取得し、記事にしていくのかという流れをあらためて理解しました。私たち地方銀行の職員は、情報流通のメカニズムについて深く知る機会がとても少ないのです。私自身、そもそも世の中にPR TIMESのようなプレスリリース配信サービスがあることも知りませんでしたから。

プロジェクト内容も魅力的でしたし、PR TIMESさんが地方金融機関との提携の輪を広げていこうとしている経緯にも共感できました。それに、ほかの銀行がまだどこも提携していないことも、正直ラッキーだと思いました(笑)。なので、ほかの銀行との実績がなくても、すぐに提携に向けて動いていきましたね。

福岡亮(京都銀行 公務・地域連携部)

そもそもPR TIMESが、地方金融機関との提携プロジェクトをスタートさせた経緯は?

小暮:地方企業の多くは、「地元のご支援によって成長している」という気持ちが強いため、地域内のつながりを大切にしています。そのため、地元新聞とは良好な関係が築けていても、インターネットで全国に情報を発信する方法は、まだほとんど浸透していません。広がる可能性を自ら狭めてしまっているのではないかと思ったんです。

地方支社を持たないPR TIMESが、全国の価値ある情報の流通を支援するには、いかにして地元とつながるかが大切になってきます。そう考えたときに、地方企業にとって成長をサポートしてくれる「地方金融機関」は稀有な存在ですし、彼らを通してなら、聞き馴染みのない「PR」にも耳を傾けてくれるのではないかと。そんな思いを抱いて、2016年6月に地方金融機関の業務提携プロジェクトが立ち上がり、私が担当責任者に就任しました。

「一番乗り」だからこそやる。京都銀行に根づくベンチャー精神

前例がないなかでPR TIMESと提携を結んだのは、京都銀行から見ても、地方企業の情報発信に課題を感じていたからでしょうか?

福岡:はい。地域に根ざしている私たちの取引先のなかでも、全国的にその魅力を発信すればもっと成長が見込めそうだなと思う企業がたくさんあります。

しかし、地域に対してのアピールを優先してきた企業が多いため、全国向けのメディアとコミュニケーションをとるノウハウもないですし、そもそもデジタルを活用したPRの仕方を知らない可能性もあるので、そこは改善の余地があるだろうなと感じていました。

安達:とくに、中小企業やスタートアップでは経営資源が限られており、PRの専任者がいないことがほとんどですから。リソースもなく、ノウハウもない取引先の中小企業にとって、「PR不足」は顕著でしたね。でも、小暮さんからお話をいただいてから、各社のPR活動を気にかけて見てみると、すでにPR TIMESを活用している企業が多くあることに気づき、驚きました。

PR TIMESさんの配信サービスをもっと気軽に活用でき、より多くの企業に投げかけることができるのであれば、さらにPRという文化が地域に広がっていくのではないかと。潜在的なニーズがとても高いと思いましたね。

安達規晶(京都銀行 公務・地域連携部)

小暮:当時、まだほかの銀行が乗り出していない前例のない取り組みでしたが、不安はありましたか?

福岡むしろ、一番乗りだからこそ「やってしまえ」という感じでした(笑)。というのも、京都銀行には「とにかく行動する」文化が伝統的に根づいているんです。この行動力を重んじてきた理由は2つあります。

まず、ひとつは20年ほど前から、京都以外の他府県に支店を設置していること。他府県で「京都」を名乗って営業する場合、ほかの銀行との違いをアピールしなければ、使ってもらえません。だから、ほかの銀行がやっていない取り組みにチャレンジする意識がもともと高いんです。

そして、もうひとつの要因が、ベンチャー精神を持った銀行であるという点です。京都銀行は、かつて京都北部の福知山に本店を構えており、京都市内に本格的に進出したのは戦後のこと。

当時の基幹産業であった繊維業や伝統産業の会社には、すでにメガバンクや信用金庫が抑えていて入り込めない状態でした。そこで、まだほかの銀行が取り組んでいない町工場でものづくりをしていた企業を中心に営業して、取引を拡大していったんです。


京都には、オムロン、任天堂、京セラなど、世界に誇れるものづくりの大企業がいくつもありますよね。

福岡:そうなんです。戦後にベンチャーとして活動を始めた現在の大企業と一緒にわれわれも成長してきたという歴史がある。一つひとつの小さな積み重ねがいまにつながっていることを実感しているからこそ、社風としていまも行動することを重要視しています。だからこそ、経営陣も「ほかの銀行がやっていないならやるな」とは言わないんです。

安達:PR TIMESさんとの提携プロジェクトについて役員に相談した際も、「うちが一番になるなら、すぐにやれ」と言われました(笑)。

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取材・文:萩原雄太 撮影:高木亜麗